出版社内容情報
社会・人文諸科学と歴史学の新しい関係
フランス革命、マルクス主義革命などを「脱神話化」してきたフュレが、『アナール』の歴史学者たちの間にあったある種の一体性を超克し、“科学としての歴史学を追求”、事実と歴史との関係を定義し、さらに新しい歴史の仕事場(アトリエ)を切り拓こうと試みる画期的論集。
「歴史学は私にとって、現在の世界の知と不可分であることを示したかったのである。現在の世界の知こそが、歴史学に問いと存在理由を与えるのだ。」
【著者紹介】
●フランソワ・フュレ(Francois Furet) 1927年パリ生。歴史家、政治思想史。1956年、国立科学研究センター研究員、フランス革命の研究に着手。1960年、社会科学高等研究院研究員、1977年から85年までは院長を務める。1985年以降はシカゴ大学教授も兼任。フランス革命の研究家として世界的に高い評価を受け、ハンナ・アレント賞(1996)をはじめ、数多くの賞を受賞する。1997年3月、アカデミー・フランセーズ会員に選ばれるが、同年7月に急逝。邦訳著書に『フランス革命を考える』(大津真作訳、岩波書店、1989)『20世紀を問う――革命と情念のエクリール』(大宅由里子訳、慶應義塾大学出版会、1996)『幻想の過去――20世紀の全体主義』(楠瀬正浩訳、バジリコ、2007)『マルクスとフランス革命〈叢書・ウニベルシタス〉』(今村仁司・今村真介訳、法政大学出版局、2008)他。
内容説明
歴史学は、社会の諸現象を理解する全体の知である。家族・犯罪・信仰・書物・衣食住…アナール派第三世代において多様な広がりをもつに至った歴史学は、一方で細分化されて散らばってしまった。「歴史学はそれでも社会諸現象を最大限理解できる諸条件を一つにまとめる包括的で全般的な知であり続ける」として、“社会科学としての歴史学”を追究した、画期的論文集。
目次
1 歴史学の現在(フランスの知識人―マルクス主義から構造主義へ;歴史のなかの数量;物語史から問題史へ;歴史学と民族学)
2 古典文化のなかの歴史学(歴史学の誕生;十八世紀フランス王国における「書物出版」;十八世紀フランス社会の二つの歴史的正当化―マブリーとブーランヴィリエ;ギボンにみる文明と野蛮)
3 アメリカとデモクラシーの思想(未開の人間から歴史的人間へ―十八世紀フランス文化におけるアメリカの経験;トクヴィル『アメリカのデモクラシー』の概念体系)
著者等紹介
フュレ,フランソワ[フュレ,フランソワ] [Furet,Fran〓ois]
1927年パリ生。歴史家(政治思想史)。ソルボンヌ大学卒業。1956年、国立科学研究センター研究員。18世紀パリのブルジョワ、続いてフランス革命の研究に取り組む。1960年、F.ブローデルが部長を務める高等研究実習院第6部門に入り、1977年から85年まで社会科学高等研究院(旧・第6部門)院長。フランス革命、現代政治思想に関する優れた著作を次々と公刊し、アレクシス・ド・トクヴィル賞(1991)、ハンナ・アレント賞(1996)など多くの賞を受賞
浜田道夫[ハマダミチオ]
1949年兵庫県生。立教大学大学院を経て、リヨン第2大学第3期博士号取得(歴史学)。兵庫県立大学副学長。近代フランス経済史・社会史専攻
木下誠[キノシタマコト]
1956年鳥取県生。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。兵庫県立大学教授。フランス文学・思想専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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壱萬参仟縁
うえ
takao