背教者ユリアヌス―神々の死

背教者ユリアヌス―神々の死

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  • サイズ B6判/ページ数 351p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309200903
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

内容説明

先帝の陰謀によって父と兄たちを殺され、従兄である皇帝コンスタンチウスの監視のもとで育てられたユリアヌスは、キリスト教徒として権力にも政治にも無縁な生き方を求めたにもかかわらず、やがて副帝に任命され、あげくには兵たちにより皇帝に推され、叛乱軍を起こすに至る。しかし、コンスタンチウスは戦いを交じえぬうちに急死し、その遺言によりユリアヌスは正統の帝位に即く。その時すでに、彼は自分が神秘宗教ミトラ教を奉じるものであることを明らかにし、ローマ各市に古代の祭祀を復活させることを命じていた。ローマ帝国衰退期に、古代信仰の再興を目ざしつつ、32歳で戦い死んだ背教者ユリアヌスの波瀾に満ちた生涯を描いた感動の長編ロマン。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鐵太郎

20
ギボンを読んで、辻邦生の「ユリアヌス」を読んだあとで新しい知見が得られるかと読んでみたもの。過去の神々の退場と新しい神の台頭のなかで時代に抗った一人の男の物語なのだろうけど、どうも読んでいて窮屈。なにが窮屈かというと、当時の人々を打算的、熱心あるいは狂信的なキリスト教徒と、同じく偏屈で教条的なギリシャ・ローマ信徒としか見ていない、キリスト教文化にどっぷり浸った反キリスト的哲学者の筆致が息苦しかったから。そしてあまりにも機会主義者的暴君のユリアヌスの描写もステレオタイプで、読んでいてきつかった。残念。2019/09/03

em

19
4世紀のローマ皇帝、ユリアヌスの物語。背教者、アンチキリストという呼び名自体が、歴史の作られ方を物語っている。先帝の時代にキリスト教徒たちが打ち壊した神殿でオリンポスの神々を拝することが、こう呼ばれるのだから。そして教会に持ち去られた宝石を元どおりディオニュソス神像の目にはめ込む行為は、盗みのようにみなされる。キリスト者たちは異教徒を蔑み、仲間内でも罵り合い、宗教会議は醜悪をきわめる。ではオリンポスの神はというと、彼らもまた古い神からその地位を掠奪したのだ。神も椅子取りゲームをするみたい。2018/10/21

BIN

6
辻邦生の背教者ユリアヌスを読んでからだとどうしても違和感というか読んでいて苦しさを覚えました。なんか異常にキリスト教が広まり過ぎている感じがあるし、それもかなり狂信的で、ローマの神々を忌み嫌っているのがかなり狂っている感じがしました。古い作品でもあり、それの翻訳版となると読んでいて馴染めなかったので、途中から斜め読みになってしまいました。2025/03/31

トミーチェ

1
古い本で訳文の美しさに惚れ惚れすると同時に、ちょこちょこと現代的価値観や一人称の変化に戸惑いを感じつつ読了。面白いがこのユリアヌスの人柄は近づきたくないやつだった。

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