内容説明
マコはお絵描きが大好きな小学四年生。ある日、土手沿いに、屋根の上に巨大な足形の鉄のオブジェをのせた風変わりな家を見つける。森のような庭には、あちこちに不思議な彫刻が見え隠れし、美しい葡萄の彫刻の門には、看板がかかっていて―そこは、美術教室だった。話題の画家、蟹江杏がおくる初小説!
著者等紹介
蟹江杏[カニエアンズ]
画家。東京都生まれ。自由の森学園卒業。ロンドンで版画を学ぶ。現在、美術館、全国の百貨店や画廊で、数々の個展を開催。しなやかな線と圧倒的な色彩で描かれる、豊かな物語性を喚起するその作品は、多くの人を魅了する。著書に、絵本『ハナはへびがすき』(第14回ようちえん絵本大賞受賞)など多数。舞台美術や壁画制作、企業とのコラボレーションも手がける。またNPO法人3・11こども文庫理事長として、被災地の子どもたちに絵本や画材を届ける活動や絵本専門の文庫を設立するなど、全国の子どもたちとアートをつなぐ活動を精力的に行っている。アートを通しての多彩な活動が評価され、雑誌「Pen」が主催するPenクリエイター・アワード2021で、審査員特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
93
『小学館児童出版文化賞』受賞作品です。本賞は、毎年度、児童出版文化の向上に貢献すると認められる、幼年ならびに少年少女に薦めたい優れた作品及び作家を顕彰するというものであり、まさしく受賞に相応しい作品でした。クラスでちょっと浮き気味のお絵描きが大好きな小学四年生「マコ」と家族に見捨てられたちょっと変わった芸術家「太」との交流を美術教室を舞台にほっこりと綴ります。美術云々というよりは大人も子供もお互いに成長するというコトがココロ温まるステキな描写で仕上げられています。児童書レベルではない本作は見事でした。2025/09/27
みかん🍊
80
マコはお絵描きが大好きな小4、土手沿いの風変わりな建物が絵画教室と知り一人で訪ねて行く、そこは庭にもあちこちに彫刻がありとても魅力的に見えたが、住んでいるのは妻子に出て行かれ一人暮らしの変人芸術家、マコの為に絵画教室を再開する事になる、美しい物が好きでそれを生み出す為に全てを投げ打ってしまう、彼の子供たちは憧れながらも父親を恨んでいた、芸術の世界は過酷だマコの両親がとても理解ある素敵な人たちでユニークなマコの話をちゃんと聞き見守ってくれている、幼なじみのユウがそばにいてくれたお陰で救われていたんだと思う。2024/07/03
fwhd8325
60
ファンタジックな物語なのかと思って読み進めていましたが、著者の自伝的な作品でした。著者自身が画家でもあり、絵を描くことの表現は、新鮮に感じました。絵を描くことの思いや恩師になるオッサンへの愛情、家族への思い。どれもが心に響いてきます。2025/03/30
chiaki
36
絵を描くのが大好きなマコと、奇妙で個性的な芸術家のオッサン先生との交流を描く。無邪気で衝動的な性格ゆえに、周りのペースと合うことがなく学校では疎外感を味わうマコ。そんなマコをユニークで『唯一無二の特別な存在』と見守り応援する両親と、幼なじみのユウちゃんの存在が温かくて救いです。家族を顧みず芸術に没頭し、ヘタクソと普段憎まれ口叩くオッサンの、孤独で愛情深く、自由なようで不自由に囚われている不安定さが芸術を生きてる感ありすぎて、じれったいけれど愛おしい。繊細でしなやか、瑞々しい筆致に感激でした。おすすめです!2024/09/11
まる子
24
第74回小学館児童出版文化賞の一冊https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003349.000013640.html 学校で周りと少し違う感性を持ち生きづらさを抱える小学生のマコが、同じ生きづらさを抱えながらも絵を描き彫刻を何よりも愛する吉本太と出会い、芸術家の道を歩む。「普通の人」とそうでない人は何が違うのか?を問われているように読んだ。著者の蟹江杏さんをはじめ、登場人物には実在するモデルがいるそう。彼女が経験した事を児童書として書かれた物語。2025/09/24