内容説明
元「天才」子役×「炎上系」俳優、高1男子ふたりが、文化祭で演じた本気の舞台は、戦争の惨劇―。
著者等紹介
町屋良平[マチヤリョウヘイ]
1983年東京都生まれ。2016年『青が破れる』で第五三回文藝賞を受賞しデビュー。2019年『1R1分34秒』で第一六〇回芥川龍之介賞を受賞。2022年『ほんのこども』で第四四回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
170
町屋 良平は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 最初面白そうな展開だと思っていたのですが、戦争を絡めたせいで、何とも言えない感じになってしましました。 人は生きていく上で、少なからず演技をしているのかも知れません。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031774/2024/03/25
シナモン
93
「ひとのつくった物語のなかに生きているほうが楽で居やすい。人生はキモい。」「そもそも素直な感情というものが消えうせた。いまではそんなものすべてフィクションで、幻と思う。素直な感情、おもったままの言動なんて。」元天才子役木崎と凡人俳優笹岡の物語。この二人がまだ高校一年生だと思うとやるせない気持ちになる。タイトルに惹かれて手にとってみたけど、難しくてしんどくて苦しい読書だった。文藝2023年秋季号で読了。2024/03/17
ででんでん
63
「しき」が好きで、今までに3冊ほど町屋さんの作品を読んだ。「愛が嫌い」の底に流れるものが、この作品にもつながっていると感じた。ごつごつと折れ曲がり、咀嚼しにくい文章を、何とか噛み砕こうとするのは、嫌いなことではなかったが、大変時間がかかった。ちょっと嫌になりつつも、折れ曲がりの角々から顔を出す、瑞々しさの破片のような感触が癖になり、何とか最後まで読めたという感じ。結論として、私にはやっぱり難解だ。2024/05/20
ヘラジカ
42
前作の『ほんのこども』がかなり難解だったので身構えていたが想像していたよりは読みやすくて安心した。しかし、これもまた複雑で力の籠められた作品だ。演技する身体を描きながら社会の中で生かされる人間存在の本質に迫っている。解釈の難しい場面や文章に頻繁に出会い、久しぶりに硬質にして高質な日本文学を読んだという感じがした。しっかりとした感想を書こうと思ったら骨が折れそうなので、簡単に。2024/04/15
yutaro sata
27
小説なのだけれど、良かった部分に線を引く、どこか名言集のように読んだ。結末が良かったとか悪かったとかそんなこととは全く別の場所で、この書物は重たい。 私は似たような境遇ではないが、似たような不信、浮遊感を生きていた。 しかし私は「生きている」とはもう言わない。ちょっと距離が出来ている。 機能していなかった家庭のことを、「それも良かった」などと振り返ることはしないまでも、まあ、ただの人と人が出会っただけの話だから、ミスもある、くらいに今は思っている。2024/04/29