出版社内容情報
恋そして4年間勤めた高校の生徒達との別れ……『サラダ記念日』刊行後の激動の24歳から28歳までをうたう感動の歌集。
内容説明
恋。そして4年間教師をした高校の教え子たちとの別れ…心を鳴らす感動の歌集。
目次
まもなくの冬
天気あめ
ユリ
父の転勤
青い傘
ゆく春や
修学旅行
火を抱かず行く
桔梗
風よりも風〔ほか〕
著者等紹介
俵万智[タワラマチ]
1962年、大阪府に生まれる。85年、早稲田大学第一文学部卒業。86年、作品「八月の朝」五〇首で第三二回角川短歌賞を受賞。87年、第一歌集『サラダ記念日』を刊行。同書で第三二回現代歌人協会賞を受賞。他の歌集に『プーさんの鼻』(第一一回若山牧水賞)など。また、評論『愛する源氏物語』(第一四回紫式部文学賞)など、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
14
学生時代に読んだ第二歌集。懐かしい。「駅前の花屋に群れる今はまだ誰のものでもないスイトピー」2019/11/21
おはぎ
12
教え子との歌が印象に残るなと思っていると、「…歌の選択にあたっては、生徒たちとのつながりから生まれたものに、点が甘くなってしまったようです。」とのこと。気持ちもわかる。のちの歌集で、子どもの歌はそのまま出す「刺身」だと表現していたけれど、教え子との歌も似たようなところがあるように思う。『サラダ記念日』のフレッシュ感がいい意味で薄れ、年数の分だけ成熟した歌になっているか。お気に入り2首▶︎駅前の花屋に群れる今はまだ誰のものでもないスイトピー/マシュマロのような文字書く少女らにハートと星の書き順を聞く2022/08/03
てん
10
サラダ記念日に続き。俵万智の歌集を、順を追って読もうと思う。第一歌集のサラダ記念日に比較し、少しだけ暗くて重いトーンが加わっているような。澱のような。自分も見たことのあるような光景がこのような短歌になるのかと。芭蕉の俳句のようなものもある。「堅牢な建物のなか五月雨を忘れて眠る金色堂は」サラダ記念日より、こちらの方が好きかな。2021/11/05
ディディエ・メラ
5
作者の何時の作品か‥ と言う前知識は一切知らずに読んだ。最近の歌集が冴えなかったので勇気が要ったが、この歌集は未だ俵万智さんが若い頃にリリースされたものだと知り、やはり‥ と感じた。感性の初々しさと言葉の速度がスマートで、それは最近の俵氏の歌には抜け落ちてしまったエレメントであることがただただ残念だ。最近の俵氏の歌は昔ことばが多くて抵抗を感じるが、この歌集は今どきの普通の言葉で書かれているので水のようにすんなり心に歌が届く。何度も読みたい歌集となった。2024/12/13
yumicomachi
5
再読。第一歌集『サラダ記念日』から四年後の1991年に刊行された第二歌集。退職した橋本高校での生徒たちとのつながりから生まれた歌、海外を含む旅行詠、恋愛の歌、家族の歌、花を観察して詠んだ歌など四百七十余首を収録。どの短歌もとても読みやすく、心にスッと入ってくるのは流石と思う。〈B4の上質紙トンと揃えおり心もこんなふうにトトンと〉〈つぶやけばりんどうりんどう秋の夜の鐘の響きをふと思わせる〉〈黒板に鳥飛ビ廻ルと書きおれば君へ向かってゆく一羽あり〉〈しぐるるやコペンハーゲン大学の食堂で飲むカフェカプチーノ〉等。2023/07/20