内容説明
著者の初短篇集。論理と、論理を超えた出来事が交錯する書き下ろしを含む全8篇。
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部卒業。食品メーカーに勤務する傍ら、2002年『アイルランドの薔薇』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
177
短編集。ブラック系のミステリーって感じで転校なんかがイイ。院長室も面白かったから今度EDSも読んでみようかな。2015/04/02
みっちゃん
134
石持作品を読んだのは、本当に久しぶりです。不気味な表紙に負けない黒い黒い短編集。心拍数と血圧上昇必至の怖〜い展開の後に待っている論理的な答え。でも程よいゾクゾク感が残ります。トイレの扉1枚挟んでの夫婦の緊迫感が半端ない【黒い方程式】と何故か3階で止まるエレベーターの謎が怖いんですけど、の標題作が良かったわあ。2014/08/09
🐾Yoko Omoto🐾
107
架空現実の中での心的恐怖を描いた、石持版「世にも奇妙な物語」といった感じの短編集。結末がどれも「ゾッとする感じ」だが、必ずしもバッドエンドではない話もあり読後感は悪くない。一風変わったクローズド物が多いと言われる石持氏だが、今作も「観覧車」「全寮制高校の寮」「自宅マンションのトイレ」「エレベーター」など様々なクローズド空間が登場する。圧迫感や恐怖感、異常心理…閉鎖空間が人にもたらす影響は小さくない。読み手はそんな感覚にシンクロすることで恐怖を疑似体験できるのかもしれない。良作揃いの一冊。2013/08/01
財布にジャック
86
石持さんは他のミステリー作家さんとは、目の付け所がちょっと違う方だなぁと前々から感じていましたが、表題作の「三階に止まる」は本当に石持さんならではの個性的なお話でした。短編集なので、読み応えには欠けますが、それでもやっぱり石持さんの持ち味が充分に生かされていて、楽しい時間を過ごすことが出来ました。2013/10/10
えみ
76
その一線を越えさせたのは誰だったのか。いや、何だったのか、と言い直すべきかもしれない。もし感情が見えたならば、この小説には恐怖と困惑と諦めが溢れているのが確認できたことだろう。人間って生物の触れてはいけない部分を、触れてはいけないと分かっていながら触れてしまう人間という摩訶不思議な性質がこの物語を価値あるものに変えている。こ洒落た皮肉の効いたホラーでありミステリでもある短編集。石持浅海流、独特の閉塞感がこれでもかと畳み掛ける個性的な8篇。恐る恐る隠された真相を覗く…というチョットした悪巧みを実行した気分。2022/09/25