出版社内容情報
大山 淳子[オオヤマ ジュンコ]
著・文・その他
内容説明
百瀬は、男性恐怖症の千住澄世からの依頼を受ける。知らないうちに親から不動産を受け継いでいたが、管理が行き届いておらず『幽霊屋敷』と地域で問題になっているらしい。一方、百瀬法律事務所の猫たちは、人と猫のお見合いパーティーに根こそぎ強制参加。せいせいしている七重と、ちょっと寂しい野呂。そんな時、「人質」ならぬ「獣質」をとった前代未聞の「ペットホテルたてこもり事件」が起こり、事務所の猫も巻き込まれてしまう!なんとか一緒に住み始めた百瀬と亜子、子育てに奮闘中の春美、いよいよ受験に臨む正水直。みんなの原動力は、周りの優しさと人を想う気持ち。
著者等紹介
大山淳子[オオヤマジュンコ]
東京都出身。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。2008年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。2011年、『猫弁 死体の身代金』で第3回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞しデビュー。2018年、『赤い靴』が第21回大藪春彦賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
142
ほかほかの一冊。百瀬と亜子の同居でまた一歩前進。そこに幽霊屋敷の空き家問題、ペット人質事件を盛り込みながら展開するストーリー。もう、絶え間なくやってくる笑いと涙、このブレンドがほかほかで好き過ぎる。亜子の両親の新居引っ越し行動に笑い、野呂さん、七重さんもかなり変だけどものすごく大切で心にスパッと届く言葉を届けてくれるのが涙ながらに良い。受験生 直ちゃんもつくづく百瀬に出会えて良かったな。ここは一人じゃ暗いままの道も必ずこのほかほかメンバーが誰かの道を照らしてくれる。幸せの道へ連れて行ってくれる温かい場所。2022/09/10
aquamarine
92
今回百瀬のもとへやってきたのは、相続した幽霊屋敷をどうにかしたいという男性恐怖症の女性。一方で事務所の猫たちは獣医の柳によってホテルのにんにゃんお見合いパーティに連れ出されるのだが、近くのペットホテルで立てこもりが起こり…。相変わらず女心のわからない百瀬にため息をつきたくなるが、本人はそれなりに一生懸命でどれだけ失敗しても理解のある周りに支えられ、手帳まで作ってもらって、今回も大団円。こんなに安心して読めて読後幸せになれるシリーズはなかなかないと思う。黄色い扉はやっぱり幸せを呼ぶのだろう。2022/08/04
初美マリン
91
ユートピアならこういう人々が住んでいるのだろうか? 猫弁は悲しみを知っているから思いやれる。安定のユートピア2024/04/09
Ikutan
84
亜子ちゃんと、ようやく同居を始めたのに、相変わらず忙しい百瀬さん。『幽霊屋敷』の相談を受け早速調査。そんな時、『獣質』をとった前代未聞の『ペットホテルたてこもり事件』が発生。『にんにゃんお見合いパーティ』で新しい飼い主に巡り会えた百瀬法律事務所のシニア猫の『ボコ』も『獣質』の一匹に。人命がかかっていないため、警察の対応はいまひとつ。そこで百瀬さんは..。個性豊かな事務所の面々のやり取りに頬が緩む。今回も、意外な繋がりが嬉しい温かなラスト。「正水さんは、人助けの名人だ!」優しさ溢れる百瀬さんの言葉が泣ける。2022/06/30
白雪ちょこ
83
今回も、安定で心が温かくほっこりさせられるような内容となっていた。 男性恐怖症の、彼女からの依頼が様々な事件へと結びつき、最終的に沢山の人を救う、百瀬の飛び抜けた優しさ。 そして現在、日本でも問題になっている空き家。 それについてのテーマや、動物達の命に関する問題など、暖かい中にも現実的なシビアな問題も取り込まれており、考えさせられる内容となっていた。 亜子と春美の女同士のリアルなやりとりは、笑いが止まらない。 百瀬と亜子の、亀よりも遅すぎるような恋愛の歩幅も、これからも応援していきたい。2022/08/16