内容説明
本書の主人公である望月かずは、実在した日本人女性である。東京の高円寺生まれながら、父親についての記憶はなく、母親も満州で死に、わずか六歳で孤児になった。そればかりか、母の遺産も家も何もかもを現地の人間に略奪されてしまい、自分の身さえ売られたという苦しい体験を持つ。この孤児を抱いたことがきっかけで、かずさんは五十六歳という短すぎる生涯に百三十三人もの孤児を、韓国の地で育て上げた。お金がない生活の中で、習い覚えた理髪業などで生計を立てた。それでも子どもたちの養育費が不足した時には、病院に行って自身の血液を売りながら、子どもたちを育てた。韓国の孤児を育て、オンマと呼ばれた日本人女性。その想像を絶する生涯をたどる真実の物語。日韓の秘話を『白磁の人』の著者がはじめて壮大なスケールで描く巨篇。
著者等紹介
江宮隆之[エミヤタカユキ]
1948年山梨県生まれ。「経清記」で第13回歴史文学賞受賞。『白磁の人』で第8回中村星湖賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てるてる
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主人公の望月かずさんは実在した人物らしい。韓国人孤児を自分の手で立派に育て上げる。自分が孤児であったがゆえ、同じ境遇にある幼い子を見ると放っておけない、かず。なかなかできる事じゃない。というか私にはとてもできない。実子を育てるだけで、いっぱいなのに、かずさんは実在した人・・。じゃあ、私に何ができるんだろうって考えたら、周りにいる子供達を見守ってあげる事。声をかける事。繋がりを持つ事なのかあなぁと思った一冊でした。2012/05/26
もんちきん
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いいかい。私が今日からあんたたちのオンマだよ。2008/04/29