出版社内容情報
恋の成就のために、文章に凝り、タイミングを図り、工夫を凝らした王朝の人々。「物」にこめられた平安の人々の心を解き明かす。
内容説明
平安時代の貴族たちは、現代とは比べものにならないほど多くの手紙を綴っていた。使用する紙や文字に細心の配慮をし、内容にふさわしい植物の枝に結ぶ。返事が遅いと不安にかられ、早く届けば幸福に包まれる…。また、手紙は途中で盗み読まれる、間違った相手に届くなどの危険も多く、それを防ぐ手立ても必要とされた。『源氏物語』『枕草子』『蜻蛉日記』などの古典名作を読み解き、王朝人にとっての手紙の意味を明らかにする。
目次
第1章 王朝の危険な手紙たち
第2章 手紙を運ぶ人たち
第3章 王朝手紙の作法入門
第4章 手紙の作成機器
第5章 王朝の恋文技術
第6章 王朝の遠距離手紙
第7章 手紙の華麗な装飾
第8章 手紙の時間と命
著者等紹介
川村裕子[カワムラユウコ]
1956年東京都生まれ。武蔵野大学日本文学研究所客員研究員。活水女子大学、新潟産業大学、武蔵野大学を経て現職。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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於千代
2
平安期の手紙について、日記文学や源氏物語から見ていく。恋の物語も、すれ違いも、平安期の人間関係には手紙が不可欠であることがよくわかる。平安貴族の手紙や和歌というと優雅なイメージがあるが、実際には即レスが期待されているなど、実際には当意即妙さが求められて、まるで現代のSNSやメールのようなやりとりがされていたことがわかり、イメージは変わった。2024/12/05
neigechampagne
0
大河ドラマの影響から源氏物語を読み、その流れでこの本を読みました。少し前までメールや手紙は切手を貼って投函していたわけですが、便せんや封筒のデザインを選んだりするあたりは、平安の頃から続く行動なんですね。また、手紙の行き違いで人の気持ちが交錯するあたりは、今読んでもドキドキするものですね。2024/11/23