感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
366
休暇をとって大阪から東京にやって来た有麻の1週間を描く。これといって劇的なことは何も起こらない。主な登場人物は、語り手の「わたし」と高校の同級生だったしょうちゃん、鳴海くん、2学年下の凪子、会社の元同僚の李花ちゃん。李花ちゃんを除いては大阪出身者であり、地の文は共通語だが、会話文は大阪弁である。彼らはある種の異邦人であり、逆に言えば東京の風景はここでは異郷としての風貌を帯びる。そうした相対化こそがこの小説の存立基盤である。そして、その中で李花ちゃんは彼らの世界を繋ぎ止める杭である。2022/06/04
しょこら★
36
なんか不思議な雰囲気だった。よくわからないんだけど、でも東京に上京してきて、手持ち無沙汰でなにもかも珍しいふわふわした感じとか、バンドライブのあとの、歌い出しそうなみんな仲間みたいな、気持ちのいい高揚とか。ちょっと良かった。あと、学生時代のふとした出来事がいつまでも心の引っかかってる感じ。答えなんてないんだけど、いつまでも、いつまでも…2015/02/26
kaoriction
22
今日は知らない、まだ出会っていない見知らぬ誰かと、実は既にすれ違っていたり。何か新しいことを始めてみたり、知らない街へふと思い立って行ってみたり。そういうことなんだよね。珍しく東京が舞台。ふわふわしているのに、地に足がついているような。不思議な男女の関係。なんかいい友達関係。軽やかに真っ直ぐを向いて。月曜日から土曜日までのフツーの話。時間はごく緩やかに淡々と過ぎ行く。誰かと出会って何かが始まりそうで何も始まらなくて。仕事へ行って食べて呑んで、喋って寝て。また見知らぬ誰かとすれ違って出会って。都会の片隅で。2019/02/08
リノン
19
柴崎友香さん、初めて読みました。こういう小説は初めて読んだような。月曜〜土曜日まで区切りながら物語が進んでいくのですが、1日の終わるタイミングが絶妙で驚きます。最終的に何が伝えたかったのかは、よく分かりません。雰囲気は好きな感じです。凪子は面白い!2014/12/03
くるみみ
18
以前別の作品を読み始めたものの、合わないなと感じ読み終えることができなかったけれど、本作品は最後まで読めた。関西圏の20代女性が東京に上京してる男友達宅に1週間泊めてもらう、という状況から始まった。曜日ごとの章分けで、失恋したばかりの仲良しの友達とのやり取りやカメラを携え、主人公の周囲への視線はみずみずしく語り口も静かだ。高校の同級生だった男子に会いたい理由や環境設定に、僅かにその世界観を感じたけれど私にはセンチメンタルだなぁとしか思えず。好きな人は好きな世界だと思う。2022/06/26




