内容説明
いま話したことも憶えていない、突然キレる…スキー事故で奇跡的に助かった20歳の息子にくだされた診断は、「後遺症なし」。医師の無理解、自殺未遂などさまざまな困難を乗り越え、社会復帰を果たすまでを支え続けた母の愛と感動の手記。
目次
第1章 後遺症なし(スキー場での事故;奇跡的に意識が回復する ほか)
第2章 「時間が必要…」(脳外科ではもうやることはない;これは夢だよね? ほか)
第3章 いまの自分は自分じゃない!(死にたい!;夫との対立 ほか)
第4章 自殺未遂、そして診断(自殺未遂;措置入院という強制入院 ほか)
第5章 自立に向けて(暴れたことがくやしくて、悲しい;自覚の芽生え ほか)
著者等紹介
鈴木真弓[スズキマユミ]
1953年生まれ、東京都出身。理容師国家試験取得後、実家の理容室にて理容師として働く。サラリーマンの夫と結婚、三男の出産を機に理容師を辞める。夫の会社設立で、家業兼主婦の日々を過ごす。1998年、長男・郷がスキー場で事故に遭遇し、高次脳機能障害を負ってから、毎日が一変。高次脳機能障害との闘いの日々がはじまる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テンハル
6
【タイトル買い】前途洋々な若者であった長男が、不慮の事故により「高次脳機能障害」になってしまった。命さえ助かれば「元どおり」になると信じていた母の心情を赤裸々につづった手記です。救命治療と脳外科手術の発達により、誰もが当事者になるうる後遺症の知名度の低さには、多種多様で日々変化する脳の状態を、身内以外の第三者が以前とは違うところを明確に、正確に診断することが難しいところにあるんだと知りました。2013/10/05
まこ
5
高次脳機能障害という障害は、小さな脳損傷から起こるが、診断にたどり着くまでの道のりは長い。 周囲の理解も乏しい。 何より、自分へのトリセツが必要な障害と思う。2020/07/19
ヤナギ
4
不慮の事故で障がいを負ってしまった息子を支える母の強さに涙した。家族がバラバラになりそうで、母自身も逆境に壊れそうになりながらも完治を信じて何件も病院を駆け回り凄いと思った。辛い時に息子の死を願う気持ちはよくわかる。でも乗り越えた時に暖かく見守る姿勢にかわっていて心境や価値観の変化はとても勉強になった。なによりも障がい者に対する接し方や捉え方の変化はとても参考になった。2013/07/30
いけだ
2
どうにもコントロールできなくなってしまう自分をいつもどこかで客観的に見ているような節があって、この題名の台詞や「どうして僕は助かったの」という言葉があまりにも痛ましくてやりきれなかった。 私たちが無意識に感じてるほど福祉制度は全然守ってくれず、全く理解してくれず、自分で行動しないと、誰も助けてくれない、残酷な世の中のしくみを見た。 その中を乗り越えていく彼がいかに強くてかっこいいか、ほんとにすごいと思う!2014/10/09
shurarabon
2
友人から息子さんが事故で記憶障害になったと聞いた。今、入院して懸命にリハビリしているという。作者の方と友人の姿が重なって、祈るような気持ちで一気に読みおえた。暗闇の中にさす光を見つけるその日まで歩き続けて。きっとその日は来るから。そう思わせてくれた一冊です。2013/01/25