内容説明
「あなたは今、どこにいるのですか?」ライラックの香りに包まれた五月、あの人は逝ってしまった!それから20年、激動のヨーロッパを舞台に作家の知られざる側面を鮮烈に伝える、透明な記憶の集積。
目次
ライラックの咲き匂う初夏に
別れの言葉もなく
「あなたは…」
「あなたにとって幸福とは何ですか?」
「しあわせだなぁ、ぼかぁ!」
あなたは外国に家出するのだ
ファザー・コンプレックス
フランクフルトの競馬場
イイ語の先生
バラのつぼみ〔ほか〕
著者等紹介
シュミット村木真寿美[シュミットムラキマスミ]
1942年東京生れ。早稲田大学大学院(美学専攻)修了後、ストックホルム大学に留学。68年よりミュンヘン在住。レポーター、通訳、翻訳業のかたわら執筆活動を行う
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感想・レビュー
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Rockwell
2
著者は早稲田の院にて美学を専攻し、通訳や翻訳の仕事をしている。「形而上的な愛の話」「沖縄からの電話」での「形而上」論争がおもしろい。「昔は細長い顔をしていた」では、初刊の詩集『われに五月を』が出版されるに至った思い出なんかも書かれている。「リンゴのある部屋」では、寺山の考える「故郷」や「祖国」について記された部分がある。他には、寺山へのインタビューの回答が寺山らしいなぁと。「あなたにとって幸福とは何ですか」『幸福を探すことだね』「何歳まで生きたいですか」『二百歳まで』…結局は47歳に亡くなったけれども。2012/09/28
ぱーぷる・ばんぶー
1
著者は寺山修司が構成したTV番組のインタビュアーを務め、天井桟敷のヨーロッパ公演にも関わった方らしい。ちょっと独断的ではあるが、若き日の寺山修司の一面を知ることができる。2010/09/09
私的読書メモ3328
0
関係者による寺山修司伝、と思いきや著者の自伝的要素が多く、羊頭狗肉の感が強いです。不合理な章立てや自己完結して説明不足・唐突な文章、非常に断片的なエピソードの無造作な並びなど、かなり読み辛いです。寺山修司の熱心なファンなら楽しめるか、といったところでしょうか。2015/10/02