内容説明
戦後にとって、革命とは何か!革命の根拠地を「共同体」に求めた伝説の革命詩人・谷川雁―。かつて、彼の詩は民衆の精神を奥底において煽動する『瞬間の王』であった。彼の行動と沈黙の意味が、いまここに解き明かされる。
目次
1 歴史ノンフィクション(隠された札;死と再生;伝説の詩人)
2 批評(谷川雁の帰還?;「神話」創造のほうへ;『無の造型』にふれて ほか)
3 追悼(伝説の詩人;谷川雁が帰ってゆこうとした場所)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユ-スケ
2
理路整然とし、格調の高い文章で読ませてくれた 谷川雁の沈黙時代のことにふれた読み物にはいままで出会わなかったので、目からウロコなところもありました 谷川雁に関心のある人には必読の一冊か ただ、雁さんの後半生、こどもたちとの童話の読み解き活動についての考察もあればなおよかった2025/01/02
AppleSugar
1
東大紛争の際、安田講堂の壁に書かれた「連帯を求めて孤立を恐れず 力及ばずして倒れることを辞さないが 力を尽くさずして挫けることを拒否する」という人口に膾炙した革命運動のフレーズを生み出した詩人、谷川雁。その人生を、そのひとつ下の世代で、谷川雁を師と仰ぐ松本健一が綴った本。 谷川雁本人は、三井三池争議に破れた後、なんと資本家として成功。ラボ教育センターという、英語教育会社の幹部になっていた、という意外なその後も興味深かった。2020/04/16