内容説明
二〇〇〇年代初頭から急速に広まったキャリア教育。でも、正社員になれればOK? キャリアプランなんて立てられる? やりたいこと至上主義のワナとは? 常識に振り回されずに自らの進路をつかみとる方法、教えます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
不確定要素が拡大している今の社会で、終身雇用の正社員を目指す「キャリア教育」はナンセンス。文科省、教育機関、学生の関係を見直すきっかけにこの本がなればいいと思う。真に学生に必要なのは、人生にイレギュラーなことが降りかかってきたとき、いかに自分が獲得してきた智慧で乗り切るかという人間力である。2018/01/09
コウメ
68
前半は様々な人を例えに出している。就活をちゃんとしたけど辞めた人、卒業してから自分のしたい仕事が見つかった人、バイトから自分のしたい仕事が見つかり起業した人、この本には答えは書いてないけど(確かにそうだ)ピンとくる言葉があった「天職につけるかどうかが鍵」だと学生の間に見つかるのは稀ということ。後半は1990年代と現代と比べての情報と子供の仕事の価値観の違いについて、今は表面。昔は家がそういう家庭が多く実際に体験していた差を比べている。2020/02/23
よこしま
43
キャリア教育のウソというより、その危険性かな。◆2003年から始まったこの教育をご存知な親御さんも多いはず。大学生でもインターシップが必須に。果たして『やりたいこと』を若いうちに見つけても無事に就いて、かつ安定した生活をおくることができるのか?◆実際、同じ高校を100人が卒業しても、直接就職するなり、専門学校や大学を経ても軌道に乗れてるのは4割のみです。「やりたいこと」「やれること」「やるべきこと」を考えながら現状の社会の広さを知るべきで。◆しかし労働者派遣法が改正され、人生を壊してるのは国自身では?2015/09/25
けんとまん1007
42
このまま行くと、生まれた直後から”キャリア教育”路線に乗せられそうな気配すら感じられる今の時代。意味合いも感じながらも、どこかで、乗り切れない部分も多かった。これを読んで、そうだ!と思う点が多々あった。今のは、一過性のイベントにすぎないものが多いということ。キャリアを考える基礎的な部分がないこと。将来は可変であるということなどが、隠されているように思う。教育全体への、おかしな方向へ持っていこうとする流れが垣間見える今だからこそ、大切なものがこの本の中にあると思う。2015/03/28
きいち
24
誰よりも、キャリア指導に関わる先生方や親、そして職場のマネージャーたちに読んでほしい一冊。(そして自分が受けたキャリア教育に疑問や物足りなさを感じた若者たち)。だとすると、プリマーよりもちくま新書に入れたいかな。◇「方程式やってなんの意味があるの?」たとえばそんな疑問に自分なりの答えを見つけられるよう物理的に環境を整えること。キャリア支援の活動に関わってきて、僕はそれが一番基本と考えるようになった(それは中高年に対しても)。この本は現場のそんな問題意識に応えた上で、実際のいろいろの活動を座標づけてくれる。2013/10/19