内容説明
遊女を妻にした商人の不思議な運命、うつろ船伝説の悲恋、吉原遊郭で財産を蕩尽した男のそれから…歴史の表舞台にはあらわれることのない、市井の人たちの一瞬のきらめきを描いた22の短篇を収録。ふしぎになつかしく、ちょっとせつない江戸の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばるちょ
1
歴史小説に慣れてない人には辛いかも。短編集だが話の一つ一つがしっかりとしている。好きな話は『町医者』『紙屑買』『大工と猫』『心太売り』2012/09/26
inarix
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享保の改革以来、親孝行が奨励され、その親孝行を商売にしてしまった『親孝行』 ほか、滝沢馬琴が編んだ「兎園小説」にもある常陸の国のうつろ舟伝説、「東海道中膝栗毛」でお馴染みの弥次さん北さんなどを題材にした全22編。 『江戸ふしぎ草子』の姉妹編。2013/07/24
R
0
江戸を舞台にした、人々の日常を切り取った短編集。一話毎に当時の風俗がコラムでまとめられているのでより世界観が入ってくる。人を思う気持ちがとても暖かく伝わる、切なさが込められたお話全22話。特に「遊女の妻」と「ふとんかぶり」「親孝行」が好みだった。2012/04/23
松風
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江戸の風物を淡々と紹介しながらヒトコマのドラマを描く短編集。
てまり
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江戸の市井の人々を舞台に、虚実とりまぜ編まれた22編の小さな物語。町並みや生活のスタイルは違っても、人を慈しんだり、手に入らないものを嘆いたり、ささやかな願いをかけたり、人の営みはなんと代わり映えのしないことだろう。「心太売」、「荷い風呂」が、特に印象に残った。2004/09/21