内容説明
楠木正成の三男に生れ、南朝の柱石と頼まれながら、内通と転向を繰返し、歴史から消えた非運の武将の謎を辿る『太平記』終焉譚。石田三成に殉じ関ケ原に散った悲劇の名将・大谷吉継を描く『醜』を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
3
楠木正成の3男、正儀を書く「孤景の人」と、関ヶ原前の大谷吉継を書く「醜」を収録。共に年代記風。ふくらみには欠けるが、基本的に視点を主人公にほぼ固定しており、日記というか独白を読んでいるような印象。2人に共通するのは「不本意な人生」という点だろうか。正成とその長男次男は、進言容れられず無謀な戦いを強いられ、戦死した。否応なしに総領となった正儀はその愚を繰り返すまいと、南朝を裏切ってでも止戦に持ち込もうとする。企てはことごとく破れ、戒名に「忠」の字を与えられず、歴史の中に消えた。自殺したとも言われるそうだ。 2018/01/28
Sanchai
0
さすがに元新聞記者。年代記として史実が整理されており、他の歴史小説を読みながら史実の部分とフィクションの部分を峻別するのには役に立つと思う。書き方としてはあまり面白くない。小見出しを多用して欲しいが、大正生まれの著者が20年以上前に書いた作品に文句つけても仕方がないか…。2013/07/26
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