内容説明
ある南島の創生と悲劇。豊饒な想像力と魔術的リアリズムによって呼びさまされる、驚異の神話的時空間―。衝撃の長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
23
日照りが続いた島から脱出した比嘉ガジラーチンと恋人ウパーヤ。辿り着いた白骨の山があるちいさなみどりの島を開拓し、多くの人達が島に渡ってきたが...。尾骶骨部分がくっついた双子を出産したものの炎の中に消えたウパーヤ、末端が肥大し大女ムホとの情事に耽るガジラーチン、生き残った双子の一人比嘉ガジュラール・ガジュラールと恋人のユーナ。ウパーヤの予言のとおり島には不幸が訪れやがて人のいないみどりの島に還ってゆく。...時は過ぎ、訪れる人もいない島。洞窟の奥で尾骶骨をつなぎ合わせた二人の子供が微かに動き始めていた。2020/03/05
inugami4649
8
沖縄を彷彿とさせる南方の小島を舞台にしたマジックリアリズム作品。有史以来の日照りから逃れるため、決して涸れることのない〈青い泉〉があるという無人島に渡った比嘉ガジラーチンと恋人のウパーヤ。かつて人が死に絶えたという不吉な言い伝えのあるその島の創世から、米軍の砲撃による滅亡までの80年を描く。島にたどりついてからしばらくは世界創世神話みたいでそんなに面白くないけど、ガジラーチンの息子が産まれたあたりから面白くなった。2014/08/11