内容説明
幼女から高校時代に至る女ともだちとの心の葛藤を、初の異性体験を交錯させつつ陰影鮮やかに描き出し、生の実相へと迫る大型新人の最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
73
16歳の瞳美(ひとみ)は男を知った。それは、美しい友人えり子に対する反抗心からか。「親友」という一方的な呪縛から逃れるために、瞳美は麦生(むぎお)とセックスして酒を飲み煙草をふかす。美しい友人はまだ子供、対して私はもう大人だと感じる。▽思春期の友人関係の歪さ。それはコンプレックスなのか虐めなのか、鬱屈した関係性を壊すために「オトコ」を利用しようとするオンナの感情は、結局苦い。▽初出誌「文藝」1986年2022/05/08
井戸端アンジェリか
15
青春だなぁ、あの頃に戻って恋をしたくなった。 ずっとえり子に囚われているのかと思っていたけど、何も知らない子供は主人公の方だったね。大人になると色々なモノが容易く見えてつまらないな。2015/12/08
くまたす
4
★★★★★美しい幼なじみのえり子は、常に私を彼女の陰に置こうとする。大人の歓心を得るのもクラスメートから羨望の眼差しを受けるのも、私ではなくえり子。彼女は自分がより輝くために、私という「暗い家」を必要としている。そう気づいた私はある方法で彼女から離れようとする…。初めて読んだのはローティーンの頃。当時は情緒的な文章は飛ばし飛ばしでストーリーばかり追っていたが、いま読むと子供のような大人の女のような、不安定な心情の描写が光る光る!さて少女は男を知れば大人になれるのか?たぶん、そういう訳でもないんだろうなぁ。2023/02/15