内容説明
“父”は戦争中、日本人に妻子を殺された中国人。訪日団に加わってはじめて祖国の土を踏んだ残留孤児が戦後40年を経てようやく発見した真実の祖国とは、親とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナハチガル
21
タイトルが気になって手に取った。エッセイかとも見まがう私小説のスタイルで、7篇の短編が収められている。本文中でも語り手が「リベラル左派」と評されているように、日本に帰らない残留孤児、資本主義に翻弄される天才的スキーヤー、家出同然で国際結婚するお嬢さんなどが、手練れの筆致で描かれる。と思ったら、タイトルだけは知っている『清貧の思想』の著者だった。私が知らないだけかもしれないが、最近こういう作風の作家がいなくなった気がする。いつの時代でも必要だと思うのだけれど。あまり読まれてないみたいだけど、いい本です。A。2025/05/04
HH2020
0
◎