出版社内容情報
《内容》 序より抜粋
呼吸器の臨床に十分な経験と見識をお持ちであると思われる先生方に診療の秘訣の御執筆をお願いしたところ，幸いにも133篇もの原稿を御寄せいただくことができた。早速通読したところ私自身が教えられることが非常に多く最初に裨益されたことに感謝し，同時に強い感銘を覚えた。読者の皆様も私と同様な感想を抱かれることを確信している。
その理由を思い当たるままに挙げてみると次のようなことになるであろう。
教科書的な内容や表現を脱して個々人の実地臨床経験から結晶したメッセージであることが，その1である。その2は呼吸器という臓器の特性を重視する立場，すなわち空気と液体という物理学的性状が異なる媒体が機能に参画しているため換気と血流を考慮すべき立場を忘れてはならないこと。加えて自律性と随意性の二重の調節が関与していること，外界と直接に交通するため肺が全身を映すカガミとなることなどを想起させる内容が目立つことである。最後に患者さんと医師が人と人との交流の中で診療上の信頼関係を構築するために必要なことがさまざまな形で経験的に語られていることが挙げられる。
《目次》
■診療の進め方－問診と身体所見
体位変動の重要性／呼吸器診療における量的診断の重要性／肺音聴診のポイント／高齢者呼吸器診療の要点／他8項目
■診療の進め方－病態・検査所見から
結核性胸膜炎の診断と治療／心不全の裏にある呼吸異常の存在／過換気を引き起こす病態，徴候，治療／鈍的外傷性気胸の診断と病因／他2項目
■画像検査
胸部X線で肺癌を見落とさないために／画像所見に学ぶ症例／胸部レントゲン読みのコツ／胸部接X線写真読影のコツ
■肺機能検査
フローボリューム検査のpitfall～β刺激薬吸入後に一秒率が低下？！～／日常診療にスパイロメータを役立てよう／肺気量分画とスパイログラムの判読／過去の肺機能データ活用の効能／他4項目
■気管支鏡検査
気管支肺胞洗浄と経気管支肺生検／経気管支肺生検標本をどのように読むか
■パルスオキシメータ
Spo2のみかた／在宅酸素療法パルスオキシメーターの盲点／動脈血ガス分析とパルスオキシメータの使い分け
■血液検査
MPO－ANCAと呼吸器疾患／呼吸器疾患と脳性ナトリウム利尿ペプチド
■咳・痰への対応
喀痰増加の診断と治療／慢性咳嗽への対応／血痰の見方／感染症による頑固な咳の診断／他6項目
■上気道の炎症・病変
外来でのインフルエンザ診療のこつ／気道ステント－適応と対応／かぜに抗菌薬を使うか？／マクロライド少量長期療法－適応疾患と治療の実際－／他3項目
■肺炎
健常若年者で急速に進行するび漫性陰影をみたら／カリニ肺炎を見逃さないために／市中肺炎ガイドラインが目指すもの／非定型肺炎を疑う／他4項目
■間質性肺疾患
間質性肺炎診療の考え方／胸膜肥厚を伴う間質性肺炎はアスベストーシスを疑え！／過敏性肺炎をみつける／移動する浸潤陰影／他6項目
■誤嚥性肺疾患
誤嚥の存在を疑う／誤嚥性肺炎の予防と治療／流動パラフィンの誤嚥／誤嚥性肺炎にはどんな抗菌剤をいつまで使うか
■COPD（慢性閉塞性肺疾患）
肺気腫症，COPDの診断／早期COPDを見逃さないために／COPDを見逃さないために／外来における閉塞性障害を示す呼吸器疾患の鑑別ポイント／他4項目
■喘息
高齢者喘息と肺気腫／サルコイドーシス診断と治療の問題点／職業性喘息を発見，治療する／難治性喘息患者の診療で気管気管支軟化症を疑う／他17項目
■肺塞栓症・血管炎
敗血症性肺塞栓－診断のポイント－／肺血栓塞栓症の診断と治療／慢性肺血栓塞栓症診断のコツ／肺血栓塞栓症診断のコツ／他2項目
■肺癌
肺野末梢腫瘤影の部位診断／健診による肺癌と腫瘍マーカー／中心型早期肺癌の診断と治療／原発不明の転移性肺腫瘍の診療／他3項目
■睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群および関連疾患に対する漢方治療／睡眠呼吸障害診療のピットフォール／睡眠時無呼吸症候群（SAS）診療のコツ／睡眠時無呼吸症候群の診断と治療／他2項目
■治療法のポイント
ステロイド投与下の水痘症／慢性呼吸不全患者の急性増悪時の対処法／肺血流シンチグラフィを依頼する時のポイント／呼吸器疾患の遺伝相談／在宅酸素療法における酸素吸入流量の設定／呼吸リハビリテーション－運動療法の実際－／他4項目
