出版社内容情報
《内容》 糖尿病の発症予防，ならびに正しい治療による合併症の予防は，我々医療従事者の現在における重要な責務のひとつとなっている。この責務を果たすためには，糖尿病専門医のみならず一般医，更にはコメディカルの協力が必要であるのは明白である。このような背景もあって，2001年より日本糖尿病療養指導士が誕生し，医師に加えて療養指導士の役割に期待の目が向けられている。そこで本書は，医師のみならず糖尿病の療養指導に豊かな経験をお持ちのコメディカルの方々も含めて，診療あるいは療養指導の秘訣について御執筆頂いた。
EBM（evidence based medicine）の現代にあっても，医療従事者が長年の診療経験から体得した診療のコツや秘訣が，実際の医療現場で重要な役目を果たすのは明らかであり，またこれらを上手に活用することが肝要である。このような観点から，本書が糖尿病の診療や療養指導に従事しておられる方々の日々の臨床に，少しでも役立つことを念願するものである。（序より）
《目次》
■外来診療のコツ
ヒヤリとしたり，ハッとした糖尿病症例／糖尿病の療養指導をめぐって－外来診療管理のありかた－／多彩な症状の裏を読もう／EBM／他13項目
■患者教育・療養指導
集団指導の中での個人指導／個人指導の重要性／患者指導における私の信念／療養指導に信念をもつ／他12項目
■診療姿勢
糖尿病治療とQOL／患者の心を聴き，共感し，ほめる／糖尿病診療の心構え
■1型糖尿病・小児糖尿病
学校糖尿検診をより効果的に実施するには／4歳で発症し36歳で死亡した1型糖尿病例から学ぶ／他4項目
■2型糖尿病
2型糖尿病者に対する食事・運動療法の動機づけ／2型糖尿病の発症予防に向けて／他2項目
■糖尿病妊婦・妊娠糖尿病
厳格コントロールにて過体重児を出産した1型糖尿病例／奇形児出産後，インスリンポンプ療法を開始し，健常児出産に成功した1型糖尿病の例－計画妊娠の重要性を示唆する1例－／妊娠中に発見された糖代謝異常合併妊婦からのメッセージ
■膵性糖尿病
膵性糖尿病の1例
■血糖・尿糖・自己測定
転ばぬ先の自己血糖測定－糖尿病患者にとってのヘルスメーター／生活改革のきっかけとなった血糖自己測定／他2項目
■低血糖
無自覚性低血糖／低血糖のさまざまな症状／夜間低血糖への対応
■食事療法
食事指導のコツ／糖尿病食事療法を継続に導く工夫－実生活に沿った栄養指導の重要性－／糖尿病の食事指導／他7項目
■運動療法
水泳選手の糖尿病療養指導／糖尿病運動療法の指導のコツ／他3項目
■経口血糖降下薬療法
軽症糖尿病治療における薬剤の使い方／インスリン抵抗性の存在を疑う／インスリン療法中の2型糖尿病にグリメピリド併用の効用
■インスリン療法
暁現象が顕著な症例に対する持続皮下イ・ンスリン注入療法（CSII）／2型糖尿病におけるインスリン療法の導入／他3項目
■合併症
・急性合併症
糖尿病昏睡を防ぐ－sick day対策のポイント－
・網膜症
前増殖糖尿病網膜症は管理が難しい／他2項目
・腎症
低蛋白食が著効した糖尿病性腎症／他5項目
・神経障害
糖尿病と排尿障害
・足病変
国立京都病院糖尿病センター・フットケア外来の診療－患者の足元を見て－／糖尿病足病変に対する患者指導のポイント／他5項目
・Macroangiopathy（大血管症）
意識障害と失語症を伴った脳卒中後長期臥床糖尿病患者の血糖と体液のコントロール／他2項目
・肥満
肥満の是正／超肥満症例の教育入院
・歯
糖尿病患者における歯の健康管理
・その他
尿沈渣の重要性－定期通院中に発見された糖尿病患者の悪性腫瘍－／内科外来でできる糖尿病合併症評価
■大規模臨床試験
大規模臨床試験のデータを正しく理解する
