出版社内容情報
とらわれない眼で世界に現存する街路を観察するとともに、歴史の中の街路をも想起しつつ、街路の持つ人間にとっての豊かな意味性を考え、未来の街路のモデルへの示唆を示したユニークな文明批評の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
35
街路に関しての歴史的な分析をとくに欧米での人とのかかわりあいから論じたもので、私には珍しく興味のあるものでした。読み友さんの批評を読んで図書館から借りてきたのですが、知的好奇心を非常に満足させくれるものでした。街並みと人間の文化論といった観点からも面白く、自分で購入しようかなあという気になりました。2014/12/31
Miyoshi Hirotaka
23
整然とした街並みに積雪を考慮した広い車道や歩道。札幌の自慢だが、これにより排除されたのが街路という考え方。街路は自動車のためではなく、歩行する人間のためのもの。人を集め、出会いの場となり、好奇心を刺激し、多様で複雑な機能を発生させるもの。わが国では、場末とか、路地裏というと猥雑なイメージが先行するが、ヨーロッパでは健康的なものとして、数百年前の街路が現代でも機能している。街路により都市はオアシスとなる。便利で分かりやすいが、平板な街の中に暮らしていると長期的には住む人の気質に影響し、観光客にも飽きられる。2014/09/28
zero
3
散歩好きとしては、街づくりの基本書にしてほしいと思ったな。2011/04/03
teachyuba
2
ちょっとイタリア様式に偏重してるかな?と思わなくもないですが、アメリカの風土記だとか、物流ではなく人間の生身の体に主点を置く都市計画の展開が面白かったです。
くしろ
1
ルドフスキーの街路とはこうあるべきだという主張と、自国アメリカへの痛烈な批判が織り混ざった面白い本だった。その中で、日本とアメリカの結びつきを強く感じた。この本が書かれた数十年後の私たちに向けても、痛烈な批判を浴びせているようだった。あらためて道路ではなく、街路は人間のためにあるべきである。現代日本には、道路が多すぎる。2021/10/25