内容説明
時間と場所のイメージこそが環境をデザインする。都市の再建は空間の表現でなく、時間の意識からはじまる。人間の時間感覚と物理的な時間の関係を探ることで導かれるいきいきとした都市。
目次
序文 時間と場所
第1章 都市は変化する
第2章 過去の存在
第3章 現在を生きる
第4章 保存される未来
第5章 内部の時間
第6章 ボストンの時間
第7章 変化の視覚化
第8章 変化を経営する
第9章 環境変化と社会変化
第10章 変化の方針
著者等紹介
リンチ,ケヴィン[リンチ,ケヴィン][Lynch,Kevin]
都市計画家。1918年生まれ。イェール大学、F・L・ライトのタリアセン工房などで学んだ後、マサチューセッツ工科大学を卒業。1948年から母校で教鞭を執る。都市計画の分野で、環境認知と人間行動に関するパイオニア的研究に取り組んだ。1984年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
人が自分のあり方を確認しつつ生を未来に向ける時間を作る場として都市を考える著者は、現在をコントロールし、近い未来へと目的を持って行動するために過去・現在・未来が不可分な内部の時間が発現する「愛着」の感情を重視した。産業社会以降均質で機械的な時間を人々に強いて社会の「訓化」から都市をデザインしてきた西洋近代の外部の時間を批判する本書は、社会的時間でも生理的時間でもない主観的な喜びや希望や価値観を生み出す時間から都市の見直しを図る。背景には危機的な状況において今を生きるというテーマが念頭にある(1972刊)。2025/07/05
May
0
リンチはほんとにまじめな人だ。同時代のまじめでなかった人々、例えばシチュアシオニストについて考えるのにも役に立つ。夏に再読しよう。2016/04/13
inoue
0
都市における時間という問題だけでなく、人間の体感する時間イメージ(内的時間)と外部との関わりなど時間認識から論じられている。建物・都市の保存・保全の考え方やサスティナビリティ等にも言及しており、抽象的な内容が多くを占めているが示唆に富んだ本。2014/01/14
きくまる
0
松山巌さんの本の参考文献にあって読んでみた本。開発者が心得るべき事、過去の遺物に固執しすぎず、今生きている住民に根ざした過去に留意しつつ、住民が来たるべき未来を予測し夢みられる環境をめざすべき。また私たち自身も、過去を無視したユートピアに固執せず、今現在においても世の中は変わり続けるモノと受け入れ、歴史の一貫性を理解し、過去に縛られすぎず、常に開かれた未来を意識してかつ行動すべき。みたいなことだろうか。日本人の『無常感』とつながっているのかな?専門書みたいで、ムキになって読んだけど難しかった…。2011/09/18
み
0
人びとの近い過去の出来事の痕跡がしるされている環境が「人間的な環境」(観察者は温かみを感じる)である? むずい2025/07/11
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- 洋書
- Hepsey Burke