内容説明
時間と場所のイメージこそが環境をデザインする。都市の再建は空間の表現でなく、時間の意識からはじまる。人間の時間感覚と物理的な時間の関係を探ることで導かれるいきいきとした都市。
目次
序文 時間と場所
第1章 都市は変化する
第2章 過去の存在
第3章 現在を生きる
第4章 保存される未来
第5章 内部の時間
第6章 ボストンの時間
第7章 変化の視覚化
第8章 変化を経営する
第9章 環境変化と社会変化
第10章 変化の方針
著者等紹介
リンチ,ケヴィン[リンチ,ケヴィン][Lynch,Kevin]
都市計画家。1918年生まれ。イェール大学、F・L・ライトのタリアセン工房などで学んだ後、マサチューセッツ工科大学を卒業。1948年から母校で教鞭を執る。都市計画の分野で、環境認知と人間行動に関するパイオニア的研究に取り組んだ。1984年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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May
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リンチはほんとにまじめな人だ。同時代のまじめでなかった人々、例えばシチュアシオニストについて考えるのにも役に立つ。夏に再読しよう。2016/04/13
inoue
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都市における時間という問題だけでなく、人間の体感する時間イメージ(内的時間)と外部との関わりなど時間認識から論じられている。建物・都市の保存・保全の考え方やサスティナビリティ等にも言及しており、抽象的な内容が多くを占めているが示唆に富んだ本。2014/01/14
きくまる
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松山巌さんの本の参考文献にあって読んでみた本。開発者が心得るべき事、過去の遺物に固執しすぎず、今生きている住民に根ざした過去に留意しつつ、住民が来たるべき未来を予測し夢みられる環境をめざすべき。また私たち自身も、過去を無視したユートピアに固執せず、今現在においても世の中は変わり続けるモノと受け入れ、歴史の一貫性を理解し、過去に縛られすぎず、常に開かれた未来を意識してかつ行動すべき。みたいなことだろうか。日本人の『無常感』とつながっているのかな?専門書みたいで、ムキになって読んだけど難しかった…。2011/09/18
阿部
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都市の空間イメージの指標を示したことで有名なリンチが、「時間イメージ」について論じた本。すごくよかった。着地点は都市の計画や開発、その手つきの問題だが、その話をするためにそもそも空間と人間のあいだには時間が介在していること、現在を機軸に過去と未来があることなど時間の原則から丁寧に論を進めている。抽象的な話が多いが、あくまで哲学ではなく実務や体験の話をしているという印象。折口のハレとケの概念と付き合わせて考えても面白そう。2020/12/11