内容説明
16世紀以降こんにちに至る500年間の、欧米の主要な都市デザイン事例を、豊富な図版と平易な文章による解説で概観。専門家のみならず都市デザインに興味をもつ実務者・学生の教養書・入門書として好適の1冊。
目次
第1章 産業化以前の伝統的な都市デザイン
第2章 モニュメンタルな都市
第3章 田園都市と田園郊外
第4章 近代都市
第5章 メガストラクチュア―ひとつのビルディングとしての都市
第6章 捉えどころのない都市の時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
本書は、都市デザインを産業化以前の伝統的な都市と、産業化以後の4種の都市形態(ワシントンDCに代表されるモニュメンタルな都市、ピクチャレスクと景観を重視した田園都市、機能主義的な近代都市、万博のクリスタル・パレスのようなメガストラクチュア)に分類し、産業化以前の古代ローマ、ルネサンス、バロック等複数の原型の取捨選択による合成による歴史的なスパンでの形成として示す。その際著者は、諸原型を拒否し新しい技術で可能になった近代都市計画であっても、人々が住む都市に一つの都市デザインが行き渡ることはない点を指摘する。2025/07/07
鵐窟庵
4
近代都市計画の設計手法と思想を豊富な実例を通して、成功点、失敗点を交えて論じている。当時の都市計画が様々な都市の原型に基づき、例えばルネサンス型、古代ローマ型、バロック型など、複数の原型の選択と合成によって成り立っているという視点は、近代のタブラ・ラサに都市を一から作る際の手法として重要であったことが分かる。『都市はツリーではない』という有名なC.アレグザンダーの近代都市批判があるが、本書を読むと当批判は位相空間的な純粋視点により、長い都市の営為を含めた系譜としての都市計画の視点を欠いていることが分かる。2020/03/04
ほーらん
0
モニュメンタルな都市、田園都市、近代都市、メガストラクチャーがそれぞれどのように進化してきたかを示し、その後それらが与え合った影響について書いている。 結局、これら四つの事例がうまくいったかといえばそうでは無く、当時否定されていたものが現代の技術によって可能になりモニュメンタルな空間に仕上がったり、当時なかった考え方の建物が現代において認められたりと、最適な都市モデルなんてものは結局存在しないんだという結論。 時代の流れとか考え方によって今の最適解を探そう的な。2021/05/24
はしも
0
やや古くなってしまっているが、終章のところでこれまでの都市計画の歴史をふりかえってきた意義と現代の状況の変わりように気づかされ、今でも答えの出ない問を提起している。2018/01/28