目次
第1章 古代―「善=美」の思想(哲学;芸術と美に対する一般的な考え方;「善=美」の思想;ヴィトルヴィウスの『建築書』)
第2章 中世―「神=美」の思想(美に対する一般的な考え方;建築関係書とヴィラール・ドンヌクール)
第3章 近世―「真理=美」の思想(ヒューマニズムから科学の時代へ;一般美術論;建築美論;「真理=美」の思想)
第4章 美の独立と芸術の自律(啓蒙主義・批判哲学・観念論;カントによる美の独立;芸術の自律と優位)
第5章 折衷主義の建築美論(新古典主義;ロマン主義)
第6章 科学主義美学(人文・社会科学に対する自然科学の影響;心理学的美学;科学主義的建築美論)
第7章 反折衷主義から近代主義へ(近代主義建築への道;近代主義)
第8章 様式論(美術様式論;ヴェルフリン学派)
第9章 諸方面への展開(20世紀思想の諸相;都市美論;意味論的諸説;建築造形論)
第10章 反近代主義(近代主義批判;意味論的主張;歴史主義的・地域主義的主張;構造主義)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネオジム坊
1
これから建築意匠学を学ぶものに対する教科書として積極的に勧めたい。西洋から輸入した「建築」という概念を支える美学論議を日本語でこれだけ詳細に解説している文献は他にないのではないか。何よりも意匠学と不可分な西洋哲学の美学論を平易にかつ丁寧に紹介しているのが嬉しい。1991年に著されただけあってポストモダンまでの主要な建築論議を抑えているのも魅力的である。最終章のポストモダン論では、締めくくりに、いささか乱暴な議論ではあるもの、ポルトゲージや構造主義が紹介されているのも味わい深いと感じた。2015/10/21