内容説明
世界唯一の言語運用システムである、清音と濁音との二項対立・音便・係り結びは、日本語特有であるがゆえに、近世国学と結びついた学問体系により誤って解釈されてきた。情報を効率よく伝えるため、常に進化を続けるメカニズムの、真の姿を明らかにする。
目次
序章 母語についての共通理解を検討する―民族主義から切り離して日本語をとらえる
1章 ニホンとニッポン
2章 原日本語の姿をさぐる―ラ行音の諸問題
3章 濁音の諸相―二項対立が担う役割
4章 音便形の形成とその機能
5章 係り結びの存在理由―自然な長文を組み立てられるようになるまで
補論 日本語史研究のこれからのために
著者等紹介
小松英雄[コマツヒデオ]
出生、1929年、東京。現在、筑波大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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poefan
2
当たり前のことと何の疑いも抱いていなかった日本語の「清音と濁音」「音便」「係り結び」について丁寧にかつ説得力を持って解説した画期的な本。著者の長年の研究が最もわかりやすい形で登場。この本から日本語研究は新しい段階に入ってもおかしくない。これは凄い本だ。2015/02/03
良さん
1
通説に囚われている頭を丁寧に解き放ってくれる。こんなふうに日本語を大切にしながら研究していきたいと思う。 【心に残った言葉】日本語で多少とも複雑な内容を伝達する場合に切れ目を明示できる係り結びの語法が発達したが、その煩雑な手続きを踏まずに済むように文頭に置くいろいろの接続詞が作られて、それぞれの接続詞の微妙な含みを生かすこともできるようになり、長いディスコースを滑らかに叙述できるまでに発達をとげたことによって出番がなくなったというだけのことである。(309頁)2017/09/12
澪標
0
良書2015/02/05