内容説明
高校の教科書に載っている作品を中心に和歌の魅力を味わうのに十分な10のルールを選びました。初めて和歌を読む人々を思い浮かべて書かれた、わかりやすくて本格的な和歌案内書です。
目次
第1章 枕詞(まくらことば)―それは古風な約束事の言葉、訳せないけれど、意味がないわけではない。
第2章 序詞(じょことば)―一見関係なさそうな事柄なのに、人の心に形を与え、わかった気持ちにさせてくれる。
第3章 見立て(みたて)―風景をありえないものに一変させる、言葉の力。
第4章 掛詞(かけことば)―自然と人間を二重化した、意外性の世界。
第5章 縁語(えんご)―作者がひそかに仕掛けた暗号。“隠れミッキー”を探せ!
第6章 本歌取り(ほんかとり)―古き良き和歌を味わいぬき、それを自分の歌の中で装いも新たに息づかせる。
第7章 物名(もののな)―物の名前を隠して詠む、あっと驚く言葉遊び。
第8章 折句・沓冠(おりく・くつかむり)―仮名文字を大切にしていた時代に、和歌を使ったパズルがあった。
第9章 長歌(ちょうか)―長歌は、思い出を長くとどめるための記念写真。
第10章 題詠(だいえい)―題詠は、変わらない真実を表そうとする試み。
著者等紹介
渡部泰明[ワタナベヤスアキ]
1957年・東京都生。東京大学大学院博士課程中退。博士(文学)。現在東京大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
49
枕詞から掛詞、折句から題詠と言った、現代人の常識では理解し難いものまで、高校古文よりちょいと深い感じで、鑑賞の前提となる知識をまとめた本。…実作をするには、まず、鑑賞ができなきゃ意味ないよねと思い購入したのだけど、期待は裏切らなかったです。さぁ,まず講談社学術文庫の『注解 百人一首』から行ってみようか。2014/12/04
syaori
48
和歌の修辞はラッピング。恋人や友人や目上の人に捧げる贈り物を美しく装うもの、それが和歌の技法。長い歴史のなかで時に過剰になることもあるその包装を解き、包みのなかの送り主(詠み手)の心を取り出すべく、和歌の代表的なルールを教えてくれる本。有名な歌を例にとりながらの分かりやすい説明なのでちょっと構えてしまう人でもお歌が身近に感じられるはず。何より書き手たちの、ただ読んで感じるだけでなく、ラッピングを解くコツを理解し、楽しみ、和歌に親しんでほしいという思いが随所に感じられ、久しぶりに和歌が読みたくなりました。2018/02/23
buuupuuu
25
自分のような右も左も分からない人間に、肩肘張らない言葉で和歌の面白さを伝えてくれる。様々な技巧や決まり事がどのようなものであるか、例として取り上げた和歌を一首一首解説しながら教えてくれるから分かりやすい。例えば、序詞によって心情に繊細な形が与えられることだとか、本歌取りによって重層的で複雑なイメージが表現されることだとか、題詠が普遍性を追求する意識と関わっていることだとか。取り上げられた和歌の中では紀貫之の「袖ひちて」の歌が印象に残った。季節が移り変わる中で姿を変えていく水のイメージが鮮やかだと思った。2023/02/04
かふ
19
『古今集』や『新古今集』の和歌の技法を論じたもの。このあたりの技術論は凄いもので、日本の文芸モダニズム(ルネサンス)はこの頃にすでにやり切っているのだった。わずか31文字でその方法論だけ覚えてしまえば簡単というが、どうしてその31文字の中で最大限、恋する相手にラブレター(恋歌)を贈るというテクニック(装飾したラッピングで見せる)があったのだ。小野小町とか在原業平がスターだったのもこのへんの技術論をサラッとやってのけたからだった。2023/08/19
ほうすう
11
枕詞や序詞、掛詞などの和歌の用語をわかりやすく解説してくれている。解説を読みながらこの和歌ではこういった技法が使われているのですよと読んでいるとなんとなくわかった気にもなるが、他の和歌を詠みながらこんな技法が使われているのだなと分かるかというとどうなんだろう…。ただまあいきなり歌集に触れるよりも先に読んでいてよかったと思う。親切な入門書。2020/10/17
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