内容説明
中国の六朝詩学を導入し歌を創造した家持。歌を日本の「詩」と捉え、漢詩と同質にみる態度は、歌論に表される歌の本質論に繋がる問題であり、家持の“歌学”の源流がある。本書では、特に越中時代以降の作品を取りあげ、『文選』『玉台新詠』六朝詩と比較検討し、『文心雕龍』などの文学理論と照合。どのように中国文学を享受し、日本の歌へと展開させたのか。家持が構築した新たな文芸の核“歌学”を明らかにする。
目次
第1部 家持と池主との交流歌―家持歌学の出発(家持と池主の文章論―「山柿の門」と「山柿の歌泉」をめぐって;家持の遊覧と賦の文学;家持と池主の離別歌―交友の歌学をめぐって)
第2部 家持の花鳥風詠と歌学(「庭中花作歌」における季節の花―なでしこと百合の花をめぐって;家持の花鳥歌―霍公鳥と時の花をめぐって;春苑桃李の花―幻想の中の風景;家持の七夕歌八首)
第3部 家持の君巨像―詩学から政治へ(侍宴応詔歌における天皇像;応詔儲作歌における君臣像の特色とその意義;家持歌における「皇神祖」の御代―「青き蓋」をめぐって;吉野行幸儲作歌における神の命と天皇観)
著者等紹介
鈴木道代[スズキミチヨ]
1973年9月兵庫県西宮市に生まれる。1996年3月大東文化大学文学部日本文学科卒業。2010年3月國學院大學大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期単位取得満期退学。2011年4月國學院大學文学部兼任講師。2013年3月博士(文学・國學院大學)学位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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