内容説明
物の本質を捉え、新しいことばで表現した「京極派」の清心な歌は、現代にも通じる魅力を放つ。
目次
忘れずよ霞の間より
山桜はや咲きにけり
秋来ぬと思ひもあえぬ
澄みのぼる月のあたりは
山風にただよふ雲の
いかさまに身をつくしてか
鳥の音ものどけき山の
梅の花紅にほふ
思ひそめき四つの時には
思ひやるなべての花の〔ほか〕
著者等紹介
石澤一志[イシザワカズシ]
1968年神奈川県生。鶴見大学大学院単位取得修了。博士(文学)。現在、目白大学社会学部専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
329
京極為兼は、波瀾に富んだ人生を歩んだようだ。西園寺家の家僕のような地位から身を起こし、権大納言にまで昇進したが、二度までも配流の身となり、二度目はとうとう帰洛がかなわなかった。一方、歌の世界では御子左家の傍流であったがゆえに、大胆な新風を拓き『玉葉和歌集』を単独で撰するなど、京極派を確立した。勅撰集では、『玉葉』、『風雅』歌人ということになる。あえて代表歌を選ぶとすれば「鳥の音ものどけき山の朝あけに霞の色は春めきにけり」(玉葉)「沈み果つる入日の際にあらはれぬ霞める山のなほ奥の峰」(風雅)だろうか。2022/08/26
しゅてふぁん
55
京極派の祖、京極為兼。嫡流ではないにしても、さすがは定家の子孫、貫禄がある。京極派の特徴はたくさんあるが、特に初句の字余りが好きだ。潔く言い切るのは読んでいて気持ちが良い。この本には京極派独自の表現を持った‘特異句’の歌が多かったけれど、もともと兼家の歌には多いのか、それとも敢えてそういう歌を採ったのか…京極派、読めば読むほど興味が湧いてくる。でも恋歌に関しては、薄ぼんやりとした、幾通りにも解釈できる王朝和歌の方が好き(*´▽`*)2019/03/07
ちょむちょむ
2
「月残る寝覚めの空の時鳥さらに起き出でて名残をぞ聞く」p24」 「ひとしきり吹き乱しつる風はやみて誘わぬ花も長閑にぞ散る」p80 がオススメ2020/11/22
サチ
1
図書館で借り読み。何度読んだことやら。
黎雪
1
図書館本2018/07/17