内容説明
その代表作を厳選して紹介。各歌には現代語訳をつける。振り仮名つきで読みやすい丁寧な解説つき。歌人略伝・略年譜を付し、生い立ち・歴史的背景がわかるようにした。より深く知るための読書案内付き。解説で、特色と、文学史的位置づけを行う。巻末に作家・評論家・研究者による名エッセイを収録。
目次
俳句(行く秋や縁にさし込む日は斜;名月や故郷遠き影法師;海嘯去って後すさまじや五月雨;人に死し鶴に生まれて冴え返る ほか)
漢詩(鴻台 二首(其一)
離愁次友人韻
「『木屑録』より」(其二)
函山雑詠 八首(其六)明治二十三年九月 ほか)
著者等紹介
神山睦美[カミヤマムツミ]
1947年岩手県生。東京大学教養学部教養学科卒。現在、文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
64
#夏目漱石 #漢詩 仰臥人如啞 黙然見大空 大空雲不動 終日杳相同 独自の漢詩はかけないので短歌で感想を返す。 休日は日光浴で昼寝する雲が動くと冷えるベランダ #説明歌 漱石と比べ小さい視野なんす冬は雲は動かんといて2016/01/16
ハルト
9
読了:◎ 夏目漱石の俳句と漢詩を扱っている。俳句のほうは少しだけ知ってはいたけれど、漱石の漢詩は初。どのようなものだろうかと興味津々で詠んでみると、まさに絶句するものばかり。天才かくたる所以だなと実感した。▼解説では、俳句と漢詩ともに漱石の『寂しさ』に焦点を当てて説明をしていて、なるほどなと納得する心持ちがした。『寂しさ』というのは、人間関係によるものだけでなく、人生における虚無さのようなもので、それをどこか心の隅に、ピューピューと風が鳴くような閑散とした空気を作っている。その寂寞さが心に沁みた。2023/02/11
fantamys
1
漱石の俳句・漢詩に触れたのはこれが初めてで、漱石らしい&違った一面を見ることができた気がした。2022/01/02
AZUKI
1
悲しみを悲しむ、いい言葉だと思いました。2013/11/28
けいちゃん
0
「入泥駿馬地中去」「折角霊犀天外還」…泥に足をとられた駿馬は地中に消え去り、角を折った霊犀は店の彼方に帰っていった。人間の力を超えたところで生起する大きな挫折のすがたが、躍動感に満ち溢れたものとして描かれる。挫折への優しいまなざし、世界の片隅への共感。なんとなくだけど、長生きしていたら、漱石は隠遁生活に入ったのではなかろうか。サリンジャーのように。2021/02/03