内容説明
神の姿が投影された、翁と媼の役割とは―神の世界から人の世界へと流れ込む信仰・思想から、源氏物語に隠された“系譜”と“構造”を鮮やかに描き出す。
目次
第1部 翁と媼の源氏物語(媼の鬼―隠された女系の世界;翁の思想―流れ込む伝承・伝説;“山の神”を生きる―明石君;六条院―隠蔽された正妻)
第2部 神ならぬ人の物語(反復する物語;柏木の物語―神ならぬ人のドラマとして;薫と大君の物語―タブーのない世界で)
著者等紹介
小林とし子[コバヤシトシコ]
昭和29年(1954)3月、大阪市に生まれる。大阪府立北野高等学校、京都女子大学文学部国文学科卒業後、大阪府立高校の教員になる。昭和59年、結婚により退職。栃木県宇都宮市に住む。昭和61年宇都宮大学教育学部の大学院修士課程に入学。佐藤和喜先生について源氏物語の勉強をする。昭和63年学習院大学大学院日本文学科の博士後期課程に進学。木村正中、吉岡曠先生につく。平成6年満期退学。現在、作新学院大学等で非常勤講師。日本文学協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パリティ。
4
重要な一冊。大君の呼称はのちに「姫宮」となる。さかしく思ひしずむ心も失せて。2024/05/25
鳩羽
2
なぜ翁は清げなのに媼は醜く恐ろしいものなのかという点から出発した源氏物語論。出来上がった作品として源氏物語を解釈し構造を明らかにしていこうとしているので、素直に読んで素直に面白かった。明石の系譜はどんどん血筋的にたかみに登りつめていき、物語はどんどんただの人のドラマとなっていく。雲の上の夢物語を読んでいたはずが、いつのまにか目の前のリアルな出来事を読むことになるのかもしれない。2012/01/31
-
- 和書
- めぐみ 百八つシリーズ