出版社内容情報
ひとつの文を完結した表現として分析し、前後との関係に無頓着な古典文法はリセット。断片としての古文から、文学作品としての古典への再入門。文献学的アプローチによる表現解析から土左日記を読みなおす。
内容説明
教室で習った古文教えた古文をリセット。仮名文の楽しさにはじめて触れる醍醐味と目からウロコの連続。古典文法に呪縛された、断片としての古文から、文学作品としての古典への再入門。
目次
第1部 前文の表現を解析する(従来の共通理解とその問題点;仮名の形成と仮名文の発達 ほか)
第2部 女文字から女手へ(女文字とは;女文字の実像―貫之の書いた女文字 ほか)
第3部 門出の日の記録(発端;初日の日記)
第4部 絶えて桜の咲かざらば
著者等紹介
小松英雄[コマツヒデオ]
1929年、東京生まれ。四国大学大学院文学研究科講師。筑波大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
10
図書館にて。古筆切に言及あったりするので、小松茂美と近藤してしまいそうになった▲茨城県小田の郷土資料展示に後期の勅撰和歌集に採られた小田某の和歌があり、そこからゆるゆるとたどって『古今和歌集』『伊勢物語』『土佐日記』に至った。この小松せんせは国学・国文学のひとではなく、日本語学のほうで、おもに非文学的な片仮名を扱っていたが、仮名や平仮名も見るようになって、特に古今集の注釈に根拠の乏しさが多いことに気づいた、という具合のようだ。確かに定家・宣長・啄木らの古今集評価が無問題とは見られてないもんな…2024/10/13
ひよピパパ
3
『土佐日記』の従来の読み方に対して再考を促す画期的かつ刺激的な書。紀貫之は女性のふりなどしていないと説くその論旨は明解。冒頭の目次部分で既に本書で言わんとするところが熱く語られているので、はじめからまさに小林秀雄ワールドに誘われる。ただ、論の展開がやや冗長。もっと密度を高めて論述できるのでは、と思えた。2019/01/31
ますたけ
2
つまらない古典の授業は、訳せるけど意味不明の文章を、古典文法を用いて現代語訳し、暗記を強いる点。本書を読み、少なくとも原書(写本)に当たると、見え方が異なることを体験できた。また、一見すると、意味や必然性が感じられない部分には、言葉遊び的な何かが隠れているかもしれない。これまでの常識が本質をとらえていない体験を、生徒が実感できたら、面白い授業になるのでしょうね。常識に対して疑問を持ち新しい見方を創造する(周囲から受容・評価されるかは別として)のは、単なる暗記よりずっと刺戟的。2022/05/07
しー
2
非常に刺激的で面白い本であった。著者のテクストに向き合う姿勢は見習わなくてはならない。『土左日記』を学校現場で扱うとき、この本を読んだ今、私が習ったままの授業はできないと思った。また、『土左日記』に限らず、教材として扱われる作品についてより丁寧な教材研究が必要とされると思った。2017/08/11
うろたんし
2
おもしろすぎた。2015/05/29