内容説明
「日本人」にとって風景とは?風景に宿る和歌思想。和歌文学会の最前線の研究成果を、和歌研究者のみならず他領域を含めた内外の読者に開放することを目ざして、今、切実かつ本質的なテーマを追求。風景を歌い続け、詠み込まずにはいられなかった歌人たちの営みに照明を当て「歌われた風景」と古代から近代に至る精神の軌跡を跡付ける。
目次
和歌の物象と風景
「松原」の成立
山部赤人歌における風景
屏風歌と風景―歌人伊勢の試み
「山の端の月」考―信仰と詠歌のあいだ
中世歌人の紡いだ古代の風景―『内裏名所百首』を中心として
京極派の「けしき」素描
伝統と実感と―和歌の風景・俳諧の風景
江戸派の叙景表現―『香とりの日記』における紀行文と叙景歌
明治期詩歌の“風景”観〔ほか〕