出版社内容情報
『このミステリーがすごい! 』大賞作家による最新作。ひと癖もふた癖もある受刑者との交流、刑務所内の部署間の対立、刑務官としての矜持――。加賀刑務所を舞台に繰り広げられる、刑務所ミステリー。
内容説明
刑務所、そこは更生の最後の砦―。シャバ以上に濃厚な人間関係が渦巻く場で起きた五つの事件。仮出所した模範囚の失踪、暴力団から足を洗う“Gとれ”中に起きた入試問題流出事件など、刑務官たちの矜持と葛藤がぶつかり合う連作ミステリー。『このミス』大賞受賞作家、渾身の一作!刑務所を舞台に描く重厚な人間ドラマ。
著者等紹介
城山真一[シロヤマシンイチ]
1972年、石川県生まれ。金沢大学法学部卒業。『ブラック・ヴィーナス―投資の女神』(のちに宝島社文庫『天才株トレーダー・二礼茜 ブラック・ヴィーナス』)にて第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青乃108号
413
刑務所の看守達と受刑者達の織り成す重厚な人間ドラマだった。一昔前だったら高倉健の主演で東映、いや松竹あたりで映画化されてそうな。と言っても主役を火石看守長とするならば高倉健では無理なのだが。それぞれ甲乙つけがたい良質なエピソードが並んでいるが、俺には四話の【ガラ受け】が刺さった。受刑者とその娘の面会の場面は涙なしには読めなかった。俺も実の娘には15年も会っていない。このまま2度と会う事もないのだと俺には判っているから、せめて小説の父と娘の再会に自分と娘の再会を重ねて、ひととき感慨にふけった。2022/04/28
パトラッシュ
359
刑務所が舞台の小説や映画での刑務官は収容者を支配したり逆に痛い目に遭う役が定番だ。そんな刑務官も喜怒哀楽にまみれる血の通った人間であり、受刑者処遇という難しい仕事の失敗や感情のもつれも多いが、そこを巧みに裁いて彼らに情熱を甦らせる指導官火石を通じて浮き彫りになる様々な人間模様が面白い。「いろんな受刑者がいます。だから、いろんな刑務官もいなきゃいけないんです」という火石の言葉が心にしみる。ただ最終話で明かされる火石の秘密は伏線がめぐらせてはいたが正直肩すかしだ。無理にサプライズを作らなくてもよかったのでは。2020/04/02
いつでも母さん
237
面白かった。帯の横山秀夫作家に釣られて正解でした。ミステリーは騙されてばかりの私、このお初の作家さんにもめでたく騙されました。連作5話。ラストの話であれもこれもハッキリしましたが、そんなことは欠片も不思議に思わなかったという・・ね(汗)『火石マジック』処遇部次長として続編もお願いしたい。2019/12/14
うっちー
234
横山氏同様、ドストライクでした。続編の情報はありますか?㊗️1500冊でした2022/01/05
のりすけ
219
初読み作家さん。こちらでも話題になっていたものをようやく。人間ドラマが前に出ていて読み応えあり。そうなんか!な、どんでん返しもあって面白く読めました。若干中だるみの部分もあったものの、火石マジック、お見事でございます。2022/07/09