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出版社内容情報
「再生可能エネルギーと原子力は非常に相性が良い」(ビル・ゲイツ、マイクロソフト創業者)
「核融合が電力不足の解決策になる」(サム・アルトマン、オープンAI CEO)
2050年までのカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の達成、ウクライナ情勢などに端を発するエネルギー安全保障の確保、自動車などの電動化やAI(人工知能)といったIT技術の発展で止まる気配がない電力需要の増大。人類を悩ますこれらの問題を一挙に解決する切り札として「核エネルギー」、すなわち核融合や原子力が改めて注目されている。
例えば2023年に中東ドバイで開かれた気候変動を話し合う国際会議「COP28」では、今後推進すべき脱炭素技術の1つとして「原子力」が明記された。最終日に参加国の合意で採択される決定文書にCOPが原子力を記載したのは初めて。カーボンニュートラルの実現に、原子力が不可欠であるとCOP参加国が認めたことになる。
■背景に核エネルギー技術の急速な進歩
背景には、核融合発電や新型原子炉といった核エネルギー技術の急速な進歩がある。「永遠に30年後の技術」と揶揄されてきた核融合発電は、10年後の2030年代にも実用化できる可能性が見えてきた。大学や国の研究機関などから飛び出した研究者たちが設立した多数の核融合スタートアップが開発にしのぎを削っているからだ。原子力発電でもスタートアップが登場し、小型モジュール炉(SMR)や高温ガス炉(HTGR)、高速炉(SR)など、安全性を高めつつ、効率や機能を向上させた新技術が登場している。
これらスタートアップを資金面で支援しているのが巨大IT企業の投資家たちだ。各社の支援リストには、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、ChatGPTで生成AIを切り開いたオープンAI CEOのサム・アルトマン、米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾスといった著名投資家や大企業の名前が並ぶ。未来のゲームチェンジを狙った投資競争はもう始まっているのだ。
本書は核エネルギー技術を長年取材してきた日経クロステックの専門記者二人が、新しい核エネルギー発電技術が期待される背景や技術的な特徴をわかりやすく解説する。実用化に向けた課題やビジネスの動向、カーボンニュートラル時代のエネルギー新技術の潮流を理解できるようにする。
内容説明
ITの巨人も注目する「核エネルギー革命」の真実を専門記者が解説。
目次
第1章 核エネルギーが脱炭素実現の切り札に(核エネルギー時代の幕開け告げるCOP28の「原子力推進」;なぜCOPは「核エネルギー推し」に転じたのか;核エネルギー加速を後押しする電力需要の増大)
第2章 「地上の太陽」が輝く日、スタートアップ参入で加速(加速する世界の核融合開発;なぜ核融合なのか?;世界で進む主な核融合実証プロジェクト;核融合炉技術で市場に食い込む日本メーカー;核融合スタートアップの現在)
第3章 安全性を武器に次世代狙う4種の新型原子炉(原子力発電にも技術革新あり;原子力発電の新しい選択肢「SMR」「高温ガス炉」「高速炉」;新型原子炉注目スタートアップ;大型原子炉メーカーと研究機関の新型原子炉;原子力発電所の現実解「革新軽水炉」)
第4章 特許で見る核エネルギー開発高まる中国の影響力(建設実績で見る世界の原子力発電の現状;特許分析で見る原子炉技術開発;核融合でも強まる中国の攻勢)
第5章 原発再稼働と60年超運転の安全性(国内原発再稼働の現状;原発の60年超運転、7つの疑問;長期運転を見越して炉内に「試験片」;変わる高経年原発の安全規制)
著者等紹介
斉藤壮司[サイトウソウジ]
日経クロステック・日経ものづくり記者。2017年日経BP入社。主に製造業における企業動向や最新の機械技術を担当、ロボット、半導体製造、材料などの技術を幅広くカバーする。福島第1原子力発電所の廃炉技術の取材を機に、核エネルギー技術の動向を追っている
佐藤雅哉[サトウマサヤ]
日経クロステック記者。2014年日経BP入社。先端半導体や量子コンピューター、核融合といった次世代技術を中心に取材する。製造、自動車、IT分野の取材経験も豊富。2017年から2022年は日本経済新聞社でビジネス報道ユニットの記者として半導体・電子部品分野を担当した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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