出版社内容情報
江戸時代初期の実相に迫る、歴史ミステリーの傑作!
時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかった時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となった中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求めるうちに「中川の誇りを貫いてくれ」と言い残して逝った先代が秘してきた切支丹庇護の痕跡が次々と露わになり、祈りの場に娘の姿を見つけた時、久清の運命は大きく変わり始める。やがて自らの出生にまつわる壮大な秘密も明らかになっていき――なぜ大名はくじゅうの山に登ったのか? 見えない敵と戦ってきた大名が目指した理想郷とは?
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
158
諸田 玲子は、新作中心に読んでいる作家です。上巻は、登山中心かと思いきや、恋愛&キリシタン中心でした(笑) 上巻は、一気読み、直ぐに下巻を読みたいですが、図書館の配本の関係で、一日間が空きます。続いて、下巻へ。トータルの感想は、下巻読了後に。 https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/25/09/12/02193/2025/11/18
rosetta
26
★★★✮☆豊後国、岡藩七万石中川家。摂津に起こり信長秀吉と仕え徳川の世。元々九州の地はキリシタンが多いとして幕府に睨まれてきた。特に岡藩は知恵伊豆に目をつけられ虎視眈々と取り潰しの機会を窺われている。3代藩主久清は二重の目に高い鼻、まるで異人のような容貌にずっと負い目を感じていた。父の跡を継いで藩主になったものの難題が山積みで⋯若い日の恋やキリシタンの少女への執着とか生身の人間だなぁ。徳川の世への反発から軍備を強化するとかたかが七万石のくせに片腹痛いわ(笑)領民と家臣を大切にしたい久清の思いはかなうのか?2025/12/09
kawa
25
江戸時代初期の九州・岡三代目藩主中川久清が主人公の歴史小説。日本経済新聞連載時に楽しむ。備忘として記録。2025/10/18
Atsushi Kobayashi
18
タイトルに比べて、内容の濃さ、複雑さが全然ちがう! 戦国が終わっても、江戸幕府はなんとしつこいことか。。。 です。 面白かった2025/10/22
星落秋風五丈原
17
豊後国岡藩の第3代藩主中川久清は、日本人離れした容貌と言われている。なぜそういわれるかというと、かなり目鼻立ちがくっきりした肖像画が残されているからだ。キリシタン摘発を目指しての絵踏みを行なった。久住連山の一つ大船山を愛し、「人馬鞍」と呼ばれる鞍を屈強の男性に担がせて何度も登山した。墓所は、自身が愛した大船山中腹1,300メートルを超える台地上に作られ、入山公墓と呼ばれる。岡藩中興の英主・天下の七賢将と称えられ、プライベートも充実していた、幸せな人生を送った大名のように見える。2025/11/07




