王の綽名

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王の綽名

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  • サイズ 46判/ページ数 232p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784296118946
  • NDC分類 288.49
  • Cコード C0095

出版社内容情報

禿頭王、肥満帝、青歯王、合羽王、長脛王、金袋大公、ドラキュラ公、助平ジジイ……今も伝わる56人の王につけられた綽名から、近代ヨーロッパのなりたちがわかる。ゴシップとスキャンダルに彩られた、華麗で野蛮な中世・近世欧州史!

『小説フランス革命』や『ナポレオン』をはじめ、スケールの大きな歴史小説で多くのファンを持つ直木賞作家・佐藤賢一氏が、中世から近世にかけてのヨーロッパの王の「綽名」にまつわる逸話を在位の時代順にひもといていく歴史エッセイ。1話=4ページのエスプリの効いたコラム集という趣きで、寄席の謎解きのように軽妙な語りが時空をまたいで逸話と逸話をつないでく。読んでいるとはっと掌を打ったり、思わず吹き出したり。

本書に登場するのは、9世紀のフランス・ドイツ・イタリアの元となったフランク王国の王から19世紀の二月革命で廃位されるフランスの「市民王」まで56人。北欧のヴァイキングや戦乱やまぬイベリア半島の王も登場し、星雲状態だった中世ヨーロッパがほぼ現在の国々の勢力図になっていくまでの1000年が活写される。残虐非道な謀略、親子兄弟の骨肉の争い、結婚や世継ぎを巡る醜聞、そこにカトリック教会など宗教がからみ、時に100年も続く戦争に発展する。まさに血で血を洗う歴史である。

「赤髭帝」フリードリヒ1世、「獅子心王」リチャード1世、「雷帝」イヴァン4世、「太陽王」ルイ14世……それぞれの綽名は在位当時の国情や世相を表している。それも華麗なゴシップと野蛮なスキャンダルに彩られた俗っぽさとともに。

そして、王の綽名にまつわるうんちくも随所にちりばめられていて楽しい。たとえば――
現在のウクライナの原型となるキーウ大公国の最盛期をなした「聖大公」の名「ウォロディーミル」は、ウクライナのゼレンスキー大統領のファーストネームだが、これをロシア語読みすると「ウラジーミル」、プーチン大統領のファーストネームになる。今もウクライナの首都キーウにそびえ立つ「聖大公」の銅像は、モスクワにも……

内容説明

どうして綽名がつくかといえば、同じ名前の王が多すぎて、区別がつかないからだろう―ヨーロッパの王侯貴族は古代末期に大移動でやってきたゲルマン民族の末裔であり、王の名には血統が重視されたからだ。本書で取り上げるのは8世紀から19世紀までの55の綽名。そちらの由来をたどれば、王侯貴族間の骨肉の争いと領土拡張戦争に明け暮れた、現在の欧州各国ができあがるまでの血で血を洗う歴史が浮かび上がる。

目次

捕鳥王 東フランク王ハインリヒ1世―在位919~936年
合羽王 フランス王ユーグ・カペー―在位987~996年
殉教王 イングランド王エドワード―在位975~978年
聖大公 キーウ大公ウォロディーミル1世―在位978~1015年
征服王 イングランド王ウィリアム1世―在位1066~1087年
文人王 ハンガリー王カールマーン―在位1096~1116年
カスティーリャ王アルフォンソ6世―在位1072~1109年
戦士王 アラゴン王アリフォンソ1世―在位1104~1134年
修道士王 アラゴン王レミーロ2世―在位1134~1137年
赤髭帝 神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世―在位1152~1190年
尊厳王 フランス王フィリップ2世―在位1180~1223年
獅子心王 イングランド王リチャード1世―在位1189~1199年
欠地王 イングランド王ジョン1世―在位1199~1216年
入植王 ポルトガル王サンシュ1世―在位1185~1211年
熊侯 ブランデンブルク侯アルブレヒト1世―在位1157~1170年
詩人王 ナバラ王テオバルド1世―在位1234~1253年
黒女伯 フランドル女伯マルグリット2世―在位1244~1280年
長脛王 イングランド王エドワード1世―在位1272~1307年
美男王 フランス王フィリップ4世―在位1285~1314年
フランスの雌狼 イングランド王妃イザベラ―在位1308~1327年〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

150
日経新聞連載中も愛読したが、まとめて読むと実に面白い。王という名の俗物につけられた綽名が、君臨した国の性格にも通じるのだから。助平ジジイや最愛王はフランス恋愛映画の主役になるし、生涯を戦争に捧げた赤髭王はドイツ的だと納得してしまう。粛清を繰り返し雷帝と呼ばれたロシア皇帝は、スターリンやプーチンの祖先かと思える。外国人移民を奨励したら入植王、探検航海のパトロンになれば航海王子だが、政治的都合で不能王だの狂女王と呼ばれたのは王位の代償とはいえ気の毒。いずれ彼らの生き様を、著者が痛快なドラマとして書いてほしい。2023/11/26

さつき

70
ヨーロッパの王侯たちの綽名をその生涯のあらましと共に紹介する内容。イギリスやフランスの王様達はエピソードも既知のものが多かったが、スペイン(特にスペインとなる前のカスティーリャ、ナバラ、アラゴン時代)やポルトガルの王様の話しが知らない事ばかりで新鮮でした。戦士王アリフォンソ1世、修道士王レミーロ2世や詩人王テオバルド1世、待望王セバスティアン1世の事が気になりもっと知りたいと思いました。2023/12/31

R

60
王様以外にも皇帝や女王、王子なんかもいたけども、綽名の由来から西洋史を学べるような内容でなかなか面白かった。少し短すぎるというか、説明が端的すぎて全然覚えられなかったのだが、説明に出てくる人名を見ていても、綽名つけないと区別がつかないというのはよくわかるなと思う内容だった。西洋史の素養がないので、さっぱり知らない人ばっかりだったけど、メディチが豪華王というのは初めて聞いたなと思ったが、この綽名も各国語の他、ラテン語とか様々な呼び方によるのが面白くて、日本語訳の妙もあじわえてよかった。2024/05/06

星落秋風五丈原

60
禿頭王西フランク王シャルル2世 いや身体的特徴を綽名につけるのはさ、どう?だってみんな年取ったらはげるでしょう。ましてや肖像画を見ると髪フサフサだったそうで本人怒る。一時的に剃髪(フランシスコ・ザビエルカット)したからだとか。 獅子心王イングランド王リチャード1世 これは最も有名。ライオンハート。『ロビン・フッド』に登場する勇ましくかっこいい。映画ではショーン・コネリーが演じていました。国民に言わせると、やたら他国に攻め入るのが大好きで、国内放ったらかしだったとか。映画『冬のライオン』登場。2023/12/17

イトノコ

49
キンドル。ヨーロッパの王56人(中に王ではないのも混じっているが)の異名を、その生涯と併せて紹介。/佐藤賢一さんの西欧史への造詣の深さを見せつけられる一冊。小ピピン、尊厳王・獅子心王・赤髭王の3人やエドワード黒太子、エンリケ航海王子、雷帝イワン、処女王エリザベス、太陽王ルイ14世あたりは知っているがほとんどは初耳。年代順に並んでいるので、西欧史をおさらいした気分にもなる。しかし綽名の容赦のなさよ。日本で「殿の綽名」を作ったら誰だろう?蝮、甲斐の虎と越後の龍、狸親父、猿、出羽の狐、雷神、犬公方あたり?2025/05/30

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