出版社内容情報
経済安全保障は、サプライチェーン強靭化など国際的な共通テーマも多いが、日本は、敗戦国という特殊事情、すなわち、厳しかった冷戦中の保革分断政治の影響で経済と軍事が完全に遮断されているという特殊な問題を抱えている。
本書の執筆には、防衛省、防衛装備庁、経済産業省、警察庁、公安調査庁、さらに、防衛産業、商社と非常に幅広い背景の専門家が参加。政府による安保技術戦略の策定の必要性をメインテーマにして、政府の司令塔機能の強化、科学技術、防衛技術、官民協力、対中技術流出阻止、重要インフラ防護、秘密特許、宇宙政策、サイバーセキュリティ等について、幅広く論考を集め、経済安全保障問題の見取り図を提示する。巻末には、大胆な具体的提案を付す。
とりまとめに当たる玉井教授は知財問題からスタートし近年はルール形成の法的側面の第一人者として積極的に情報発信を行っている。兼原氏は安全保障のリアルを熟知した人物であり、自分の任期中の実現できなかったテーマとして経済安全保障を位置づけその制度的課題を突き詰めている。
内容説明
課題を熟知した専門家が一堂に会し、問題点を解明。敗戦後、経済と軍事が完全に遮断されてきた日本。経済安全保障はこの遮断の克服を迫っている―。防衛省、防衛装備庁、経済産業省、警察庁、公安調査庁、さらに、防衛産業、商社と幅広い背景の専門家が参加し、軍事、宇宙、技術流出規制、防衛産業育成、武器輸出、秘密特許、学術界との関係、サイバー、インテリジェンス、米国の動向など、多角的に経済安全保障問題を捉え、改革を提言。
目次
経済安全保障を論じる視座
経済安保のキーワードはデリスキングとリマニュファクチャリング
輸出規制をめぐる米中の攻防と日本の対応
最先端の科学技術研究をどう進めるか
技術流出の防止―産業面での秘密保護法制
兵器の開発と技術の発展
防衛技術研究開発戦略はどう転換すべきか
防衛産業の再生なくして防衛力の強化なし
日本の武器輸出政策の戦略課題
安全保障における宇宙利用
中国などによる先端技術・情報入手をどのように防ぐか
サイバー安全保障は企業経営の大前提
著者等紹介
玉井克哉[タマイカツヤ]
東京大学先端科学技術研究センター(先端研)教授。1961年大阪府生まれ。1983年東京大学法学部卒業、同年東京大学法学部助手(行政法)、86年学習院大学法学部講師(行政法)、88年同助教授、90年東京大学法学部助教授、95年先端研助教授(知的財産法)、97年教授に昇任し、現在に至る。2022年より専攻分野を「ルール形成戦略」と改めた。1989~92年、マックス・プランク知的財産法研究所(ミュンヘン)客員研究員。1999~2000年、ジョージ・ワシントン大学および連邦巡回区合衆国控訴裁判所(ワシントンDC)客員研究員。16年より信州大学経法学部教授を兼任
兼原信克[カネハラノブカツ]
同志社大学特別客員教授/笹川平和財団常務理事。1959年山口県生まれ。東大法学部卒業後、外務省入省。条約局国際法課長、北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策局総務課長、欧州局参事官、国際法局長などを歴任。国外では欧州連合、国際連合、米国、韓国の大使館や政府代表部に勤務。2012年発足の第二次安倍政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。15年仏政府よりレジオンドヌール勲章を受勲(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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