出版社内容情報
E偏重のESGでは地球が直面する課題解決にはならない!
格差問題を解消し、社会の安定をもたらす
新しい資本主義の在り方とは?
◆地球社会の危機に立ち上がる新しいキャピタリズム
ESGが日本で広く取り沙汰されるようになったのはここ数年のことだが、もともとは2014年に始まったThe Coalition for Inclusive Capitalismの活動がきっかけとなっている。リーマン危機後の米国における格差拡大、労働者階級の没落、それに伴う政治の混乱とポピュリズムの台頭等などが、やがて大きな社会問題と政治の不安定化をもたらすことを懸念。地球温暖化等の環境問題も含めて「Cry of the Planet, Cry of the Poor」に耳を傾けなければいけないという思いから始まった活動である。
◆E偏重――本質を正しく理解していない日本
ところが日本では気候問題にばかり焦点が当たり、問題の本質が正しく理解されていない印象が強い。ESGは「ネットゼロ」を達成したら終わりではない。あくまで資本主義社会をよりインクルーシブにするためのものであり、未来に向けた社会の安定と発展のためには、ESGにおけるEばかりでなく、Sこそしっかりと取り組む必要があるのだ。
本書は、国内第一級の金融・経済関係者による「金融梁山泊研究会」の中心メンバーが分担執筆し、ESGの本質=新たな資本主義の在り方を提言する。岸田政権の唱える「新しい資本主義」について考える上でも参照すべきテーマであり、経済人、企業関係者、政策担当者に必携の一冊である。
内容説明
E偏重のESGでは資本主義社会の課題解決にはならない!格差問題を解消し、グローバル社会の安定をもたらす新しいキャピタリズムの在り方とは?
目次
第1章 インクルーシブ・キャピタリズムとは(インクルーシブ・キャピタリズム連合の立ち上げ;インクルーシブ・キャピタリズムの定義と実践;資本へのアクセス;株価に影響を与え始めたESG評価)
第2章 停滞からの脱却:新たな価値観に基づく需要創造(資本主義はどこへ向かっていくのか?;拡大する先行き不安;日本の「失われた30年」;日本の中間層の衰退と消費への影響;企業貯蓄拡大・賃金低下・消費低迷のスパイラル構造;経済社会を変える新しい価値観;インクルーシブ・キャピタリズムに向けた戦略的計画の策定)
第3章 私たちは、上がらない賃金にさらに30年間耐え続けられるのか?(30年間上がらなかった日本の資金;国際的にみても日本の賃金水準は低い;;日本の賃金水準の異常さ;賃金からみた「失われた30年」の実像;克服すべき課題;まとめ)
第4章 インクルーシブ・キャピタリズムにおけるファイナンス手段(SDGsとの関わり;ESG投資;銀行による取り組み;中銀デジタル通貨とインクルーシブ・キャピタリズムESG投資の南北問題;ESG投資だけでは不十分)
著者等紹介
広瀬健[ヒロセケン]
FTSEラッセルインデックス投資部門日本代表。日興アセットマネジメントやUBSシンガポール、三菱UFJモルガンスタンレーPB証券にてシニアファンドマネージャー及びチーフストラテジストを歴任。その後、経済統計ベンチャーのナウキャストやS&P Globalを経て2021年より現職。一橋大学商学部卒業、トヨタ自動車財務部出身。公認オルタナティブ投資アナリスト(CAIA)、金融梁山泊研究会主査
青木大樹[アオキダイジュ]
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社日本地域最高投資責任者(CIO)兼チーフエコノミスト。中央大学総合政策学部卒業。ブラウン大学大学院経済学修士。内閣府を経て2010年にUBS入社。2016年より現職(2021年8月よりUBS銀行東京支店との兼務)
木村玄蔵[キムラゲンゾウ]
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)シニアエコノミスト。2000年、東京大学経済学部卒業。大蔵省(現:財務省)入省。国際局にてG7やIMFとの折衝、主計局にて予算編成に従事。金融庁ではNISA、iDeCo(イデコ)につながる証券税制を推進。UBSアセット・マネジメント、三井住友信託銀行(外債運用のファンドマネジャー、エコノミスト)を経て2016年より現職
棚〓順哉[タナセジュンヤ]
1999年、早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了後、チェース・マンハッタン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)入行。為替のトレーディングなどを経て、2000年よりFXリサーチチームにて為替市場の調査・分析及び為替戦略の構築を担当。2013年6月よりチーフFXストラテジスト兼チーフEMストラテジスト。2015年6月より為替調査部長。2017年10月より財務省にて、外貨準備の運用に関連するリサーチ等を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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