内容説明
これまでの聖人伝にはない人間フランチェスコの実像を詳細に描く。
目次
第1章 幼年期と青年期
第2章 決別
第3章 これこそ私の望みだ!これこそ私の求めていることだ!
第4章 仲間、会則、キアーラ
第5章 ダミエッタとグレッチョ
第6章 聖痕 それは真の発見か、聖なる物語か、それとも大胆な発明なのか
第7章 別れ
著者等紹介
三森のぞみ[ミツモリノゾミ]
慶応義塾大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士課程(史学専攻)単位取得満期退学。イタリア政府給費留学生としてフィレンツェ大学に留学。現在、慶応義塾大学非常勤講師。イタリア中世史専攻
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感想・レビュー
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てれまこし
6
テイラーの『世俗の時代』でキリスト教的愛の一例として挙げられてた。裕福な商人の親に甘やかされた放蕩息子が回心して、すべてを捨てて清貧に生きる聖人となった。ほぼ同時代人の一遍上人なんかにも似てる。なぜそんなことになったのか、史料が限られるから、内面的に理解することはむずかしい。もともとはフランスの武勲詩などを読んで騎士道に憧れたらしいが、武勇では名を為すことができないと思ったのか、宗教の方に走った。あくまでも平信徒の一人としてキリストの生き方を真似るという禁欲的なやり方に、騎士道への憧れみたいのが残ってる。2024/06/14
ユーディット
5
中世史では親子で有名なフルゴーニ。文字資料と芸術資料を同等に扱う姿勢には完全に同感する。キリスト教の知識が皆無に近い日本人に、なぜフランチェスコが愛されるのか、一つの回答を与えてくれる。本格的な研究内容を多くの人に向けて書いた、質の高い一般書。ただフランチェスコに肩入れする人々がエリーアを描くときの感覚が彼女にもあり、わずかに残念。しかしル・ゴフが無人島に持っていくだけのことがある稀少な良書。2015/02/16
きたくり
2
リリアーナ・カヴァーニ監督の映画「フランチェスコ」(1989年)をDVDで観てえらく感動したので読んでみた。少し専門書っぽくて難しいな、と思ったけどタイトルにあえて聖人とつけず「ひとりの人間の生涯」としているのが深いと思った。個人的には聖書とか神の世界にはどうしても入り込めないのだけど・・・フランチェスコとかマザーテレサのような人物にはとても魅かれる。いろんな意味で、こういう人にはかなわない。2010/05/02