内容説明
小さな嘘から始まる泥沼、粉飾は麻薬のようなもの…潰れる会社は驚くほど似ている。経営破綻のドラマから課題の本質を探る。
目次
1 粉飾で会社を潰した社長の告白―倒産最前線(失敗を隠せば、泥沼にはまる)
2 倒産の成長期―脚光を浴びた「あの会社」の舞台裏(怒濤の攻めがつまずきの始まり;先駆者の過信は落とし穴になる)
3 停滞期の倒産―ビジネスモデルの陳腐化にどう抗うか(負の遺産が、挽回の足かせに;危機対応が後手に回る;幸運なヒットに目が曇る;起死回生の一手が、仇に)
4 突然の倒産―驚きの破綻劇に隠された必然(脆弱な財務基盤が崩れ落ちる;人あるところに、リスクあり)
5 老舗を潰した社長の告白―そして人生は続く(会社を潰した社長の告白「老舗たち吉14代目の僕が身売りを決断した理由」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
25
中小企業にまつわる勉強をしている身として、倒産企業についての考察や当事者たちの言葉は迫ってくるものがあった。何が原因か分析するのは簡単だが、その回避策を取れる経営者は本当に僅かな気がする。2022/11/12
メチコ
9
攻めるだけではダメ。 守るだけでもダメ。 現状維持でもダメ。 必要なのは先を読む力とバランス感覚と、そして何より “運” なのかな。 「失敗のほとんどは予想外の出来事ではない」とあるが、うまくいっているときほど己をたしなめる声は聞こえにくくなるし、冷静さを失いがち。 失敗して初めて「あのときこうしていれば…」と予想できた出来事を冷静に振り返ることができるようになるわけですね。 CASE18には、沈みゆく船の上において、一つの社長の理想像があるような気がして、それだけでも読む価値はあるかもしれない。2023/09/12
のるくん
5
会社(船)の経営(舵取り)が好調(順風)で資金も潤沢(満ち潮)の時ほどリスク(暗礁)に気づかない。景気悪化(嵐)の兆しに敏感か。戦略(針路)を見直しているか。会社(船)の変調(劣化)やトラブル(故障)にも冷静・迅速に対応できるか。売上げも右肩上がり(順風満帆)であれば会社(船)は勝手に前に進むが、そうでないときの社長(船長)の舵取りは重い。沈む船に気づかない(気づきたくない)船長、船を捨てて逃げ出す船長、最後まで諦めずに船員を守ろうとする船長。航海日誌と船長の告白から倒産(沈没・座礁)の原因に迫るルポ。2022/10/19
バーベナ
3
補助金頼みの水産会社は、ちょっと・・・。工場を建てれば、自動化すれば、以前よりも売り上げが伸びる、そんな魔法はなかった。最後のたち吉にしんみり。2022/10/27
ごみくず
3
通読2★4.『令和・粉飾編』とある為コロナ規制や原材料高の影響での倒産増加、という先入観が先に立つが、実際は政府のコロナ対策「持続化給付金」などで実質倒産件数はバブル期を下回る。しかしその一方で後継者の居ない店が給付金だけ貰い、この機会に頃合いを見て廃業するなどの動きもある。本書の倒産事例は店舗の急拡大に伴うデットファイナンス→売上低調からの信金担当が暗に施した粉飾経営→更に借入等良くある内容から東日本大地震時のダメージと市場の変化について行けず倒産など、コロナのダメージとその後の市場の変化を暗示する内容2022/11/15