出版社内容情報
YOASOBIのAyaseや米津玄師など「ボカロP」出身者がヒットチャートを席巻し、Adoなどの「歌い手」、すとぷりなどの「Vチューバー」が顔を隠したまま紅白出場。エンタメ界に巻き起こっている革命的変化は、何を意味しているのか? 日本の創作文化が切り拓いた「何か違う時代」の全貌を解き明かし、Z世代後の日本社会を分析する。
僕たちは、歌って踊って、世界を変えていく。
今、新しい記号表現を生み出しているのは、Z世代のエンタメ行動である。生まれながらのデジタルネイティブとしてウソの世界と本当の世界を自在に行き来する手段を得たZ世代は、旧世代とはまるで違う行動原理を持つ。近年のエンタメヒットのビジネスモデルや作品傾向を理解することは、目の前にある世代分断を理解するために非常に有効な手段になるだろう。(「はじめに」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
42
O図書館。不登校が増えた原因:2010年代後半、スマホ普及、データ低廉化、ネットコミュニティサービス普及で、デジタルに〝場〟ができたこと(49頁)。集団でやる意味とか、「個別最適な」という形容詞が付くと、通信制高校に流れるのも普通になってきた。視聴者1億人突破のeスポーツ界で1億円プレーヤー続々。ゲームの手段化と指摘される(76頁)。ゲームメーカーも推奨するぐらいだから。2018年日本は「日本eスポーツ連合(JeSU)」を設立。ゲーム「で」遊ぶか? それとも、ゲーム「を」遊ぶか? 2024/12/29
Kolon
3
著者が放つエンタメビジネスの情報は濃く濃密だ。 本書もZ世代と彼らの生態がエンタメビジネスにどの様に関わっているかを濃密に書いている。 携帯ツール、アプリ、動画配信などのツールに囲まれた彼らは、それまではプロの手を借りなければ為し得なかった楽曲、映像制作、流通、ライブ制作に至るまで、個人レベルで出来るようになった。 いわゆる中抜きの時代に入ったエンタメ業界のビジネスモデルの変化を俯瞰して理解するのに役立つ本だ。2024/11/09
むらむら
3
20代が「Z世代」、10代が「α世代」などとラベリングされる昨今。直近のエンタテインメントの潮流を分析しながら、もっと大きな歴史の中で、こういった考え方が普遍的に存在した、ということを展開した内容。末尾近くの「15歳以上と35歳未満、35歳以上で物事の吸収の方法が違う」という「銀河ヒッチハイク・ガイド」ダグラス・アダムスの言葉が印象的。YOASOBIからVTuber、一番くじからPatreonに至るまでよく調べてある。また2年後の新作を楽しみにしています。2024/06/02
たかしぃ
3
最近のエンタメやZ世代について、歴史を踏まえてまとめられた一冊。「何か違う時代」で戦う人、知って若者との距離を縮めたい人へ。2024/04/23
sou
3
様々なことに興味を持つので面白く読みました。十数年間でこんなに知らないトピックが出現していたとはと驚き。特にyoutuberやVチューバ―。Z世代的な距離感の捉え方の違いに驚きつつ、これはこれで面白そうとも思えてくる。またマネタイズにも突っ込むのがこの作者ならでは。エンタメへの情熱を持ちながらもコンサルとして冷静に分析する著者のスタンスは好感が持てたのですが、それが不満な読者もいそう。(p62)人々は与えられた「普通は」ではなく、自らのあるがままの「自分は」を追求するようになってきている。 2024/04/15