出版社内容情報
島田裕巳[シマダ ヒロミ]
著・文・その他
内容説明
さまざまな宗教対立、宗教の衝突がくり返され、歴史を経るなかで、宗教の地政学は大きく変わってきた。宗教はそのように直接、物理的にぶつかり合うこともあるが、信者はネットワークで結ばれ、そのネットワークを広げることで、それぞれの宗教は確固とした基盤を持つようになった。そして現代における宗教は、そうしたネットワークという点においても急速にそのあり方を変えようとしている。今や宗教の地政学は、その重要性を増している。
目次
第1章 宗教と地理はどう関係するのか?
第2章 ネットワークというユダヤ教の地政学
第3章 キリスト教の地政学的な成功
第4章 いったん浸透すると強力なイスラム教
第5章 仏教が抱える地政学上の長所と弱点
第6章 宗教対立と国家の存亡
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
1953年東京生まれ。宗教学者、作家。76年東京大学文学部宗教学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。84年同博士課程修了(宗教学専攻)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て、東京女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nat
29
図書館本。今の世界の状況を理解するのに役立つ一冊。昨年の10月の出版なので、今のイスラエルについては直接関係ないが、ユダヤ教については触れられていたので、ガザの問題にも繋がる内容を含んでいた。世界第一位のキリスト教が徐々に衰退に向かい、イスラム教信者が益々増えていくのではないかという予想はどうなっていくのか。イスラム教の信仰がより強固に広がっていくと、世界の勢力地図の変遷にも関わっていくことだろう。今後の世界はどこに向かっていくのかと考えさせられる一冊だった。2023/12/14
kazu4
8
なかなか読みごたえのある内容でした。 世界宗教の大筋がわかった気がしますし、ロシアのウクライナ侵略の背景に宗教が介在することも理解できました。2022/12/05
オールド・ボリシェビク
5
ユダヤ、キリスト、イスラム、仏教をそれらの宗教が生まれた風土的背景などを交えながら語る。コンパクトながら、なかなかの読み応えがある。仏教がなぜ、発祥の地である印度では完全になくなってしまったのか。イスラム教はなぜ、世界宗教となり得たのか。こういう、歴史的背景を知ることは楽しいね。2022/11/15
しょう
2
キリスト教、イスラム教および仏教が普及した理由を「ネットワーク」を軸に分析。聖俗を分離するキリスト教と世俗の境目がないイスラム教の違いはわかりやすい。また、キリスト教においても、カトリックは教会をベースに社会基盤を作り上げていき、プロテスタントはあくまでも個人の救済を目指し、さらに正教会は国・地理ごとに差があるなど、各々の特徴がある。また、その差や特徴は固定的なものではなく、地理や環境の変化を受け、相互に影響を受けあい、また無宗教者が増えている。2060年頃にはイスラム教徒がキリスト教徒の数を超えるのか。2024/05/20
サーラック
1
地政学という言葉にあまりいい印象を受けないが、それは変わらなかった 宗教の概説書でいい気がする2024/03/31