出版社内容情報
ディズニーの呪文を解き、おとぎ話を子供たちの手に取り戻さなくてはならない!誰もが知っている物語を大胆に読み解く。
グリム兄弟やシャルル・ペローによるおとぎ話の改変や、神話を持たない若い国・アメリカでのディズニー映画の戦略について、また「オズの魔法使い」がアメリカ現代文学について与えた影響などを検証し、現代社会に必要な「本当のストーリテリング」を考える。昔話研究の第一人者による読みやすい1冊。図版多数。
内容説明
おとぎ話を殺したのは誰?グリム兄弟やディズニーがかけた呪文を解き、物語の力を取り戻すために。
目次
第1章 おとぎ話の起源
第2章 ルンペルシュティルツヒエンと女の生みの力の衰退
第3章 ディズニーの呪文を解く
第4章 アイアン・ジョンについての神話を広める
第5章 アメリカの神話としてのオズ
第6章 現代アメリカのおとぎ話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Humbaba
3
物語は誰を対象としているのか、何を伝えたいのかによってその姿を大きく変える。その伝えたい内容というのは、直接的には描かれていないということも十分に考えられる。しかし、それでも読み込んでいき、出てくるキャラクタの行動と結果を分析すれば、本当に伝えたかった像というものが見えてくるだろう。2014/01/15
莉花
2
卒業論文執筆の為に読了
franny
1
本作は「本当は怖いグリム童話」などの童話の残虐さをセンセーショナルに発く本ではなく、おとぎ話が共同体の交渉伝達から、貴族のサロンの文芸となり印刷の発明により子ども向けのものへと至った歴史を見つめながら社会構造の変化、産業構造の変化によりおとぎ話の筋書きが変えられていったことに注目する。訳者によれば心理学的アプローチから社会学的なアプローチへと変えることによっておとぎ話の新たなる一面をあぶりだした本である。少し難解なので気安くは読めないかも。(当のわたしも全然把握していないに等しい)2011/10/13
あめり
0
神話とおとぎ話の関連は、時間の流れと社会の変容?おもろいけど難し過ぎ。オクガフカイ。2013/02/01
えりーぜ
0
タイトルから想像していた「神話」と違った。ギリシア神話や古代神話ではなくて、社会的イデオロギーという意味での「神話」。 結構ラディカルに批判的な言説が目立つ。ディズニーやグリム童話を無邪気に消費している身には耳が痛い。自分はフェミニストではないけれど、幸せな結婚や身分の上昇に隠された男性中心的な社会制度への従属に対してなんの疑問もなく憧れていたことを思うと、すこし怖くなる。 穿ちすぎではないかと思う点もあるが、なるほどと気づかされる点が多かった。2018/11/30