内容説明
妻と別居して事実上離婚ともいえる孤独のなか、予備校の教師として働く誠。ある日、一人暮らしをしていた母が脳梗塞で倒れたと知らせが入る。病室で夜通し叫び続ける母。追い討ちをかけるように、職場からは介護の拘束を理由にリストラを言い渡される。たった一人の母のためにサナトリウムに通って必死に介護を続ける誠の前に、同様に父の介護に一身を捧げる美香が現れる。二人はある日、サナトリウムの地下に広がる死の世界へと降りていく。現代に蔓延する不透明な死生観を見つめた幻想小説。
著者等紹介
荒木英行［アラキヒデユキ］
１９４８年大阪市生まれ。大学講師。ゲルマニスト。関西学院大学大学院文学研究科修了。日本独文学会、阪神ドイツ文学会所属。第二回中央文学賞佳作受賞。関西学院大学、同志社大学などで講師を勤める（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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