内容説明
脳が発達しない障害をもって生まれた息子の31年と2日が終わった。生き抜くためとはいえ、人工呼吸器、栄養チューブでの生活は苦しかったであろうに、私と目が合うとよく笑った。「ありがとう、がんばるからね」しゃべれない息子の笑顔は、いつもそう言っているようだった。第26回新風舎出版賞奨励賞受賞作品。
目次
誕生
小頭症
嘘
変な兄ちゃん
小さな学校 大きな力
それでも笑顔が見たいから
弟妹を導いた、言葉もたぬ子
支えられた30年
息子の死
息子の遺言
宝
再会
新たな船出
真っ赤な風船
「幸せをありがとう」
著者等紹介
藤井正恵[フジイマサエ]
1951年広島県三次市出身。大阪府堺市在住。臨床検査技師の国家資格を取得後、大阪市立大学医学部付属病院中央臨床検査部に就職。結婚を機に退職。5年後、堺市保健所へパートとして復職。長男が気管切開し、人口呼吸器をつけ経管栄養となるまでの21年間、検査の仕事に従事。長男死去後、ヘルパーの資格を取得。現在、堺市内の特別養護老人ホームでヘルパーとして働く。大阪府重症心身障害児・者を支える会会員。第21回「心に残る医療」体験記コンクール入選。第11回よい夫婦の日 100字でつづる夫婦のラブレター最優秀賞受賞。第26回新風舎出版賞、奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れい
9
【図書館】新刊コーナーで立ち読み。重度障害を持つ子の母親の手記。写真入りで、ページはとても少ない。きっと、親子で過ごした日々をぎゅっと凝縮したら、こうなるんだろうか。言葉を発することも、食べ物に自ら手を伸ばすことも、嚥下する能力さえも与えられなかった彼が、それでも笑ってくれると親としてはとても嬉しい。生きてくれていることがとても嬉しい。それがスルスルと私の気持ちの中にも入ってきた。彼が死にゆくとき、私も悲しくて泣いた。私が親という立場であるからかもしれないが、とても共感する本だった。2015/07/30