出版社内容情報
右手は義手、ギラリと光る鋭い目つきで全身黒づくめの男は、依頼主に惚れ込んだ時だけ仕事をする。そして「絶対に中を覗くなよ」と言い残し、小屋にこもり最後のひと彫りをしたその時、目の前で起こるのは世にも不思議な現象だった。旅籠を窮地に追い込む悪党や高飛車な家老など、世の悪をおのれの「みぎて」で黙らせる時代小説。「天下一の彫り物職人、左甚五郎たぁ、俺のことだっ!」
内容説明
この男の右に出る者はいないと評される彫り物職人、左甚五郎が、世にはびこる悪党をおのれの「みぎて」で黙らせる!旨い酒や大金をちらつかせ、欲を満たすために彫刻を依頼したとて、依頼人に惚れ込まなければ容易に受けない甚五郎。だが、ひとたび彫ると決めると、「絶対に中を覗くなよ」と言い残して小屋に籠る。なまぐさ断ちをして彫った、人々が驚愕する木像に潜む秘密とは。死んだ妻の幽霊を捜すという、常人には理解できない旅の途中で、厄介事に巻き込まれながらも放っておけない天才肌の人情家。甚五郎が巻き起こす、笑いあり涙あり不思議ありの痛快時代小説ついに開幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
70
名工・左甚五郎を知らない人はいないだろう。えっ!知らないって?それは大変失礼しました。有名な日光東照宮の眠り猫が私にとっては一番の有名どころ。その左甚五郎の物語を白蔵さんが書けばこうなる、どうなる?!やはり面白いの一言。甚五郎は飛騨高山の出身で亡くなった愛妻の亡霊を探して江戸に向かって旅をする。その旅の途中で人助けのために彼が魂を込めて作る彫刻。これが左甚五郎なんだ~。アニメのような世界観の中に愛や哀しみが込められていて甚五郎が好きになる。妻の亡霊とは何事ぞ?知れば切ない物語。シリーズ化されるのが嬉しい。2025/06/12