内容説明
明日香は震える手で110と押した。すぐに相手が出た。「夫の姿が見当たらないんです。海に落ちたのかもしれません」オペレーターより明日香の方が先に話し始めた。「夜釣りに来ているんですが、あまりにも寒いので車の中で15分ほど温まってきたら、夫の姿がみえないんです」―1月末の寒い日、暴走族から弁護士になった真行寺悟の法律事務所に、大鷹明日香と名乗る女性が弁護の依頼に訪れた。保険金殺人の容疑だった?!次々暴かれる被告人の過去。裁判はやっかいな様相を呈しはじめた。真行寺が隠された真相に迫る!!
著者等紹介
麻野涼[アサノリョウ]
1950年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、ブラジルへ移住。サンパウロで発行されている日系紙パウリスタ新聞(現ニッケイ新聞)勤務を経て、78年帰国。以後、フリーライター。高橋幸春のペンネームでノンフィクションを執筆。87年、『カリブ海の“楽園”』(潮出版)で第六回潮ノンフィクション賞、91年に『蒼氓の大地』(講談社)で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。2000年に初の小説『天皇の船』(文藝春秋)を麻野涼のペンネームで上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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相田うえお
74
★★★★☆24005【悪い女 暴走弁護士 (麻野 涼さん)k】シリーズ第三作目。今回のプロローグは夜釣りシーンです。釣りがしたいと夜中に言い出した夫を車で海まで連れて行き、妻は車で暖を取りながら待っていたのですが、釣り場に戻ってみると夫の姿が見えません。110番通報して捜索したところ夫の水死体発見!足を滑らせたのか?ところが警察は妻が犯人と断定。この裁判の弁護を元暴走族総長の弁護士に依頼してきた彼女は、過去に別の事件でも罪を犯していた。。みたいなスタートです。今回の裁判シーン、目がウルウルでした〜。2024/01/19
はる
24
最後の判決前はすごくドキドキした。 けど、その最後の場面に入るまでが長くてなかなか読むのに時間がかかった。 2022/04/23
kei@名古屋
20
さて、女が守りたかったものは何なのでしょう?悪い女。。。だよねぇ。。このシリーズも警官がドンパチする時代のドラマで再現して欲しかったな2018/11/07
鈴木拓
19
罪には恐らく法律的な意味での罪と、倫理的な意味での罪がある。法治国家において、法律を犯せば当然ならが罰を付ける。しかしその重さには単なる行為だけでなく、なぜ罪を犯したのかという人間の心についても、第三者による判断を受ける。容疑者がなぜ近親者二人を殺害しなければならなかったのか、それは避けることができなかったのか、殺されていい人間はいるのか、そうした問いかけは現代社会の在り方への疑問でもある。わかっていても泣けてしまう展開の巧みさもあり、最後まで一気に読み終えた。2023/05/12
petitlyz
18
Kindle Unlimitedで読了。暴走弁護士3作目。今回被告は風俗店で働く女性。実父と夫(どちらもろくでなし)の殺害に関して、保険金目当ての計画的な犯行なのかどうか暴走弁護士や女探偵社が必死に調査する。ひとえに動機の問題。被告には最も大事で、隠して守りたい存在があった。ラスト近くでは涙がこぼれた。罪は罪として受け止めたうえで、みんな幸せになってほしい。2023/04/04