感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
23
小説を読んでいるようでした。作戦の規模や効果もさることながら、関与したユダヤ人収容者たちの運命にドキドキしながら読みました。ナチスドイツのしたことは非人道的とかいうレベルを凌駕しており、ドイツ民族の恐ろしさをひしひしと感じます。2025/04/03
シャル
9
第二次世界大戦、ナチスドイツの『ベルンハルト作戦』により、ポンドの偽札が世界へばらまかれる。作戦の立案から被害者であるイギリスの対応、それをばらまく実行者と偽札作りの工匠達、あらゆる視点からこの作戦を追っていく一冊。中でも印象的なのは偽札を作るために強制収容所から集められたユダヤ人の職人たちの話であろう。技術者として、人間に近い扱いに戻りながらも、作戦の終了の際に口封じとして殺される定めでもある。技術をによって得られる最低限の尊厳とドイツへの抵抗、そして終わりは死という恐怖。戦闘ではない戦争の凝集である。2016/01/08