内容説明
織田信長に先立って、近世の歴史の扉を開いた偉人ではなかったか!戦国の武将、松永弾正久秀に冠せられた“奸雄、梟雄”という、これまでの様々な悪評を見直すべく、ゆかりの地を実地踏査、数多の文献資料を渉猟・検証し、真実の姿に迫る。
目次
第1章 日本近世城郭の開拓者・久秀
第2章 久秀の三悪を検証
第3章 松永久秀―その人物像
第4章 松永久秀―その事績
第5章 久秀を支えた人々
第6章 久秀こぼれ話
第7章 三好・松永勢にたちはだかった勢力
第8章 阿波三好氏の衰運
第9章 揺れ動いた足利十五代
著者等紹介
藤岡周三[フジオカシュウゾウ]
1926年、奈良県に生まれる。1951年、東京大学文学部独文科を卒業。毎日新聞社に入社。佐賀支局長、西部本社報道部副部長、出版局「重要文化財」委員会事務局長などを経て、1981年、定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
38
乱世の梟雄、下剋上三大悪人、大仏殿に火を放った、主家に謀反、将軍殺し、、、筆舌に絶えないワルの総帥、松永久秀であるが、『じんかん』を読んで以来、どうしても人間性に魅力を感じている。「勝てば官軍、負ければ賊軍」だとか、「歴史は勝者が作る」と言われるように、どうやら、事の理非や史実に関係なく、戦に勝った者が正義になってしまう典型のようだ。古代の蘇我氏、中世の松永久秀、近世の田中角栄(笑)、みんないい仕事してるんだけどな、、、。歴史研究はどんどん進化しているので、今後の史実解明に期待です。2021/05/11
feodor
2
松永久秀についての評伝。少し違和感を感じたのは、松永久秀の悪人説を否定する、というところに主眼があてられていること。そういう倫理的価値判断は、歴史書としてありなのかなあ……というのがひっかかる。 松永久秀だけでなく、三好一族や足利将軍家など周辺の有力者、そして何より彼の領国となった大和国の戦国期の情勢が多角的に語られる。それはなかなかおもしろかった。ただ、三好一族については、以前読んだ『三好長慶』のほうがおもしろかったし、先に読んでいたので既習知識もなくて新鮮だった面もある。松永久秀の弟、松永長頼の存在も2010/09/17
たかひー
1
★★ 松永久秀は巷で言われるほど悪人ではない、むしろ信長に先駆けての先駆者だったのでは、という内容だと理解したが、いかんせん集中力が続かずキチンと読めなかった。2023/03/16
明智紫苑
1
私は果心居士をモチーフにした小説を書くために資料を地道に集めて読み込もうと思っているが、とんでもない「迷宮」が待ち構えているんだな…。まあ、この本の久秀の解釈は一つの例として参考になるが、まだまだ資料が足りない。「そして僕は途方に暮れる」。2015/05/08
▲〆
1
戦国武将・松永久秀についての評。出自、政権内での立ち位置、文化的政治的事績、本拠地であった大和周辺の地政学などを検証。そして、多くの創作で悪役として有名である久秀像に異を唱える本題には頷ける部分も多い。難点は、扱うテーマの性質上、文中に紛らわしい人名や地名が多く、また文章が散らかり気味で読みやすさを損なっている点。